急性腎不全の種類はひとつじゃない?! 原因ごとに種類を解説

2017/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

短期間の間に著しく腎機能が低下してしまう「急性腎不全」。ただ、一言で「急性腎不全」といっても、実はさまざまな種類に分けられるのです。以降で詳しく解説していきます。

急性腎不全について

腎臓は、代謝で生まれた老廃物や余計な水分を尿として排出したり、赤血球の生産を促すホルモンの分泌などを行います。その腎臓の働きが急激に落ちてしまうのが急性腎不全です。もし急性腎不全になってしまうと、先に述べた働きが出来なくなり、体の中に老廃物や水分が溜まってむくみが生じます。その状態を放置していると、蓄積されていく老廃物のせいで吐き気や食欲低下・高血圧などが出てきて、やがては意識障害が起きたり、心外膜炎・心不全などの合併症が出たりして命を落とすこともあります。

急性腎不全はとても進行が早く、数時間から数週間の間に重症化してしまうので、発症したら一刻も早く病院で治療をする必要があります。

3つの急性腎不全とは?

急性腎不全を大きく分けると、「腎前性急性腎不全」「腎性急性腎不全」「腎後性急性腎不全」という3種類に分類できます。

「腎前性急性腎不全」は心筋梗塞といった心臓の病気や、絶食・薬の副作用などで腎血流量が減ってしまうことが原因で起こります。輸血などで腎臓に血液を流入することで解消されます。

「腎性急性腎不全」も、腎血流量が減少することで酸欠となり、尿細管細胞が壊死してしまうことが原因で起こります。すでに壊死してしまった組織は、再び血液が流れ込んでも回復することはないので、治療の基本は腎臓移植となります。

「腎後性急性腎不全」は前立腺肥大や尿路結石などにより、腎臓より後ろにある尿路が塞がれてしまうことが原因で引き起こされます。塞がっているものを手術などで取り去れば回復します。

急性腎不全は、どのように診断するの?

急性腎不全は進行が早いので、病院ですぐに検査を受けなければいけません。まず血液検査で、尿素窒素やカリウムなどの数値が異常値でないかを調べます。それから尿検査です。急性腎不全だと排尿が困難になりがちなので、尿の排出量を調べます。また前立腺肥大などにより尿路が閉塞している場合も急性腎不全が起きるので、画像診断で怪しい箇所がないかどうかを調べます。

なお、急性腎不全か慢性腎不全かの区別は、むくみや高血圧の有無や、腎臓のサイズによって区別する事ができます、急性腎不全であれば、腎臓のサイズは慢性腎不全よりも大きくなりやすいのが特徴です。

完治させるためには、早期治療が重要

急性腎不全は進行が早く、放置すると慢性腎不全となり、治療をしても腎機能が回復しない状態になります。そうなれば尿毒症となり、人工透析をしたとしても5年後、10年後の生存率は低くなり、命を落とす危険性が増します。

腎臓の病気は自覚症状が出にくいので初期症状は見落としやすいとされていますが、尿が出ずに体がむくんでいるときには急性腎不全の可能性があるので、すぐに病院を受診しましょう。急性腎不全の治療では、原因疾患の治療を行い、自然回復を図ると同時に、食事療法や薬物療法などを組み合わせて行います。

おわりに:急性腎不全と診断されたらすぐに治療を

心疾患が原因か、あるいは尿路の閉塞が原因かなどによって、急性腎不全の種類は3つに分類されます。いずれにしても急性腎不全は、慢性腎不全や尿毒症などの重篤な事態につながる恐れのある状態です。発見次第、早期治療を心がけましょう。

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