大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死症の違いは何?

2017/12/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大腿骨頭壊死症とは、大腿骨の骨頭が何らかの原因で壊死してしまうことですが、特発性大腿骨頭壊死症とはどんな違いがあるのでしょうか。この記事ではこの2つの違いを原因と症状、治療法にわけて紹介していきます。

大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)とは?

大腿骨頭壊死症は股関節を構成する大腿骨の骨頭部分への血流が阻害されることにより骨組織が壊死(組織が死んでしまう)状態を引き起こす疾患で、原因によって大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死症に分類されています。

そもそも大腿骨頭も他の骨と同じように血流によって栄養分の供給を受けていますが、大腿骨頭の場合は腸骨動脈から分岐した大腿回旋動脈と大腿骨頭靭帯動脈という血管が栄養血管として分布していますが、その血管分布が少ないため、何らかの原因で血流が阻害されると骨組織の壊死が生じやすいのです。

大腿骨頭壊死症が進行すると、股関節痛が生じ、ひどい痛みで歩行が困難になる場合があります。

大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死症との違いは?

大腿骨頭壊死症は大腿骨頚部骨折や外傷性股関節脱臼、放射線照射などが原因がはっきりしている二次的な疾患であることが多いのに対して、特発性大腿骨頭壊死症はその原因が明確になっていない疾患であるという点では異なるものの、両者における症状がほぼ同じ経過を辿りやすいということから、大腿骨頭壊死症の一部と捉えることが一般的なようです。

特発性大腿骨頭壊死症の原因については、アルコールやステロイドなどの関与が指摘されています。アルコールの長期間多量飲用に起因する血栓形成による血流阻害や、何らかの疾患等の理由でステロイドを使用し続けることに起因する骨代謝(骨を作る過程をいいます)の抑制で骨壊死を引き起こす可能性があり、これらは特発性大腿骨頭壊死症の特徴的な点であるといえます。

大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死症に共通点はある?

大腿骨頭壊死症および特発性大腿骨頭壊死症における大きな共通点はその症状であるといえます。具体的な症状について、初期症状においてはたとえ骨壊死が生じたとしても、その段階では痛みは起こりにくいため、自覚症状はほとんど見られないということがあります。

両者に共通する重要なポイントは、骨壊死と痛みは同時期に起こるのではなく時間差があるということです。つまり一般的には骨壊死から骨頭がつぶれるまでは痛みが現れず、骨がつぶれてしまってから痛みが次第に現れやすくなってきます。個人差や症状の度合いにもよりますが、骨壊死の範囲が部分的で大きくなければ痛みが現れても軽度の痛みで治まることもある点も共通点として挙げられます。

どちらの大腿骨頭壊死症の場合も、治療法は慎重に検討することが大事

大腿骨頭壊死症の治療については、年齢や生活環境、基礎疾患の有無などを考慮したうえで各々に合った治療法を選択する必要があります。
治療法には大きく保存的治療と手術的治療があり、骨壊死の範囲や症状または予後の観点から判断されることになります。骨壊死の範囲が大きくなければ保存的治療で杖などの歩行補助具の処方や重量物を提げないなどの生活指導、痛みに対する投薬治療で経過を見る場合がありますが、一方で比較的年齢が若く早期に社会復帰が必要な場合は手術治療の適応になる場合があります。

また高齢者では寝たきりに繋がるリスクを考慮して手術治療の適応になる場合があります。なお、何らかの基礎疾患がある場合ではいずれの方法においても治療により疾患を悪化させてしまうリスクがあることから慎重に進めていく必要があります。

おわりに:特発性でもそうでなくても、大腿骨頭壊死症の治療方法は慎重に選択することが重要!

大腿骨頭壊死症は、初期のころは痛みがなくても、進行することで痛みが強くなり歩行困難に陥ることもあります。大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死症は、原因に違いはありますが、治療法や症状などについてはほとんど同じです。どちらも予後や症状を十分に考慮し、医師と相談しながら納得できる治療方法を選択しましょう。

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