記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
2018/3/26 記事改定日: 2018/5/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
メディアージュクリニック青山、皮膚科
田中 美帆 先生
脂漏性皮膚炎は、頭皮など、部位によってはかゆみが出ることもありますが、皮膚が剥がれたものがこびりつくこと以外は症状が現れないこともあります。この記事では脂漏性皮膚炎の原因について解説していくので、治療のときの参考にしてください。
脂漏性皮膚炎の原因はまだ明らかになっていません。遺伝的、環境的、精神的な要因などいくつかの原因が関与している多因子疾患と考えられています。
さらに、真菌、いわゆるカビの一種によって脂漏性皮膚炎を発症しているとわかっており、症状を悪化させる原因にもなっています。マラセチアという真菌で、脂腺から分泌される皮脂を養分にしているので、皮脂の量に比例してマラセチアも増殖することになります。
脂漏性皮膚炎とは、頭部や顔面、わきの下などの皮脂の分泌が多い部位にみられる皮膚の病気です。頭皮や鼻の脇、眉毛付近にあかみ、痒みが生じます。顔や頭だけでなく首、前胸部、上背部、脚の付け根などにもこの症状が現れることもあります。
脂漏性皮膚炎は通常よりも多くの皮脂が分泌される人に起こりやすい病気です。このため、脂肪分が多い食事を好む人や適切な洗浄を行えていない人に生じやすい病気でもあります。また、肌の乾燥によって余分な皮脂が分泌されることも原因の一つであり、肌のケア不足や睡眠不足の人に見られることも少なくありません。
このように、脂漏性皮膚炎は生活習慣が深く関わる皮膚疾患といえるのです。
ストレスが多くかかる状態は、自律神経のバランスを乱すことにつながります。自律神経のうち、交感神経は血管を収縮させる効果があるため、交感神経が過度に刺激された状態では皮膚への血行が悪くなり、乾燥の原因となります。その結果、乾燥した皮膚から余分な皮脂が分泌されるのです。
また、ストレスは体内の活性酸を増加させ、それ自体が皮脂の分泌を促すだけでなく、体の免疫力を低下させることで肌の炎症が起こりやすい状態となり、皮膚炎発症のきっかけとなることがあります。
脂漏性皮膚炎は、慢性化しやすい疾患のひとつであり、かゆみなども強くないため病院を受診しない人もいるようですが、かゆみや皮膚の赤みが気になったら早めに皮膚科を受診することが大切です。ステロイドの外用で効果が見られ、短期的な治療でも改善することができます。
治療ではまずは、カビの検査をして、必要があれば抗真菌薬を処方してもらえます。赤く、痒みが強いばあいにはステロイド外用薬も併用することがあるのですが、必ず医師の指示を守って使用しましょう。
脂漏性皮膚炎は、フケやかゆみなどの軽い症状しか現れないので、軽く考えられがちです。しかし、フケが長く続き見た目にわかるようになってくると、周囲の人に不快感を与え仕事や友人関係に支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。
脂漏性皮膚炎は皮膚科での治療で比較的容易に治るものなので、生活習慣を改善しながら、皮膚科で適切な治療を受けるようにしましょう。