真性多血症はどうやって治す? ~ 病院での治療方法について

2017/12/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

真性多血症とは、造血幹細胞の異常で赤血球が過剰に作られる病気です。めまいやだるさなどの症状が現れますが、進行すると重篤な合併症を引き起こすことがあります。この記事では真性多血症の治療方法について解説していきます。

真性多血症とは?

真性多血症は造血幹細胞に異常が生じることにより、赤血球が過剰に産生される造血器腫瘍です。赤血球数の増加が顕著ですが、白血球や血小板の数も増加することが多く、病気の進行に伴い血液が濃くなり血流障害を招くため、さまざまな症状がみられるようになります。

初期では無症状の場合も多いとされていますが、頭痛、めまい、赤ら顔、目の結膜や口の中の粘膜の充血などが発現するようになり、全身の症状として体がだるい、重篤な掻痒(かゆみ)などが現れるようになります。
また、増加した赤血球は脾臓で処理されるため、脾臓が大きく腫れて(脾腫)痛むようになり、おなかの張りや不快感などが生じます。さらに、心筋梗塞や脳梗塞、白血病、骨髄線維症といった重大な合併症を引き起こすおそれもあります。

真性多血症は現時点では完治困難な病気とされており、治療は、症状を抑え、血栓症や白血病への進行を予防することが中心です。そして、症状のある真性多血症を治療せずにいると約50%の人が2年以内に死に至るとされています。

真性多血症はどのようにして発症するの?

真性多血症の原因は、血液細胞の増殖に重要な役割を担っているJAK2(ジャックツー)という酵素の遺伝子の変異であることが確認されています。

JAKとは造血をコントロールしているヤヌスキナーゼ(Janus Kinase)という酵素で、4種類ある遺伝子のうちのJAK2遺伝子が血液細胞の発生にかかわると考えられています。
通常、血液細胞の増殖では、まず増殖の命令を伝える物質(サイトカイン)が受容体に結合し、その結果、JAK2が活性化されて赤血球などの血液細胞が増殖します。
しかし真性多血症では、JAK2の遺伝子に異常が起きているため、サイトカインの受容体への結合とは無関係に、細胞増殖のためのシグナル伝達が恒常的に生じることから、赤血球をはじめ白血球、血小板という血液細胞の増加を招きます。

真性多血症はどうやって治療するの?

 

真性多血症の主な治療は、下記の通りです。

瀉血(しゃけつ)療法

真性多血症で最も一般的とされる治療法です。瀉血とは、献血同様、静脈から血液を抜き取ることであり、ヘマトクリット値が正常に戻るまで、1日おきに最大約500ccの血液を、その後もヘマトクリット値を正常に保つため、必要に応じて血液を抜き取ります。赤血球の数を減らすことで血栓形成を予防し、また赤血球に含まれる鉄を欠乏状態にすることで、新たに赤血球が造られるのを抑える効果が期待されます。高齢患者および心臓病または脳血管疾患の患者の場合は、瀉血量や頻度を調整します。

抗血栓療法

血栓の元となる血小板に作用して血栓をできにくくする薬を少量服用します。たとえばアスピリンは、骨の痛みに加え、手足の灼熱感も軽減させうるとされています。ただし、薬に対してアレルギーがある場合や、消化性潰瘍がある場合は注意が必要です。

薬物療法

抗がん剤

造血幹細胞の異常な増殖を抑えることで赤血球などの血液細胞が過剰に造られるのを抑えます。原則として、抗がん剤の使用は年齢60歳以上、または血栓症の既往歴のあるケースに限られます。

JAK阻害剤

真性多血症の原因であるJAK2の異常な働きを抑える薬で、分子標的薬ともよばれます。病気の原因を分子レベルでとらえ、それを標的として効率よく作用するようにつくられた薬を服用する治療法です。
JAK阻害剤により、血液細胞の量の正常化を目指し、真性多血症に伴う脾臓の腫れ(脾腫)や全身のかゆみといった症状の改善を図ります。

おわりに:適切な治療で合併症リスクを下げ、病気をコントロールしよう

真性多血症の完治は困難でも、治療により、生存期間は大幅に延長するというデータがあります。病気のコントロールによって、血栓形成など合併症のリスクを減らすことは可能です。疑わしい症状がある場合は一日でも早く受診しましょう。

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