多血症ってどんな病気? 症状・原因・治療法を解説

2017/12/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

多血症とは赤血球の量が増加する病気です。いくつかの種類に分けられ、それぞれ原因や症状、治療法が変わってきます。この記事では、多血症の基礎知識を紹介していきます。初期症状から治療法まで全体的に解説していくので、この機会に多血症の知識を深めましょう。

多血症とは?

多血症は、血液に含まれる赤血球量が増加する状態です。血液検査には、ヘモグロビン(Hb)量という、血液の酸素の運搬能力を示す項目があります。WHO基準では、男性でHb18.5g/dL、女性で16.5g/dL以上になると、赤血球量の増加とみなします。

多血症には相対的多血症と絶対的多血症があり、絶対的多血症は真性多血症と二次的多血症に分類されます。相対的多血症は、大部分がストレス多血症といわれます。

どんな症状が出るの?

代表的な症状としては、頭痛、赤ら顔、耳鳴りやめまいが挙げられます。これは、赤血球が増えること、またそれによる血液の粘ちょう度(どろどろ具合)の上昇によるものです。ただし自覚症状は乏しいため、健康診断等における採血検査により偶発的に発見されることが多いといわれています。また血栓症のリスクが高まり、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因になる場合もあります。

また真性多血症では、胃潰瘍、高血圧、皮膚のかゆみ、内出血等の出血傾向がみられたり、他の血球系統の異常が起こることでさまざまな症状が出る場合があります。

多血症になってしまう原因は?

多血症の原因は種類によって異なります。原因がわからないものが真性多血症であり、その他の原因については以下で詳しく紹介します。

絶対的多血症

絶対的多血症とは、赤血球数自体が増えている場合です。
真性多血症では、遺伝子変異(Jak2 V617F変異体など)による赤血球の増殖を促すエリスロポエチンの受容体の異常が原因で、恒常的に造血シグナルが伝達され、多血症が起こるといわれています。

二次性多血症

二次性多血症では、心臓や肺の疾患による低酸素血症、あるいは過度の喫煙による慢性的酸素不足を補うため赤血球が増加することが原因になる場合があります。また、悪性腫瘍(一部の腎癌、肝細胞癌、子宮癌、小脳腫瘍など)の組織が赤血球を増やす物質(エリスロポエチン)を産生することも原因として挙げられます。

また、組織に酸素がきちんと運ばれなくなり、慢性の酸欠状態になると、酸素を効率よく体全体に送ろうとするため、「赤血球を増やす」指令が飛び交い、多血症の状態になることがあります。
その他、エリスロポエチン(EPO)を作り出す腫瘍、または腎組織の異常によってEPOの量が増えることでの多血症を発症することもあります。

相対的多血症

相対的多血症は、赤血球数自体は増えていないものの、血液の量自体が減っているため相対的にその中に含まれる赤血球の量が増えている状態です。脱水、嘔吐や下痢、発汗などで体内の水分が減り、血液が濃縮されてしまうことが原因で発症します。

多血症はどうやって治療するの?

治療は、真性多血症以外ではまずその原因の改善を図ります。コントロールが不十分な場合は、瀉血 (しゃけつ:血を抜くこと)を行います。

真性多血症は、経過中に他の血液の病気に移行する可能性があるため、血液内科での経過観察が必要です。瀉血が第一選択ですが、70歳以上の高齢者に対しては抗がん剤で血球数をコントロールすることもあります。また血栓症の合併を予防するために、アスピリンやチクロピジンなどの抗血小板薬も用いられることがあります。

二次性多血症では、心疾患や肺疾患、エリスロポエチン産生腫瘍など、酸素欠乏をもたらす原因となっている疾患の治療が主となります。喫煙が原因の場合には、禁煙支援が重要になります。

相対的赤血球増多症は、水分を経口摂取か点滴で補った上で、血漿の量を少なくしている原因を解消することで治療していきます。

おわりに:初期症状を自覚しにくい病気。定期健診などを利用して血液の健康を保とう

初期段階の症状では多血症とわからず、検査を受けて初めて発見されることもあります。知らぬ間に多血症が進行して血液がドロドロになっていた、などということが無いように、定期的に血液検査を受けるようにしましょう。

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