記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/8 記事改定日: 2019/6/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
副甲状腺機能低下症とは、副甲状腺ホルモンが分泌されなくなってしまったり、著しく分泌量が減ってしまう病気です。難病指定されている全国でもまれな病気になりますが、副甲状腺機能低下症になるとどのような症状が現れるのでしょうか。
発症の原因や治療方法とあわせて解説していきます。
副甲状腺は、血液中カルシウム濃度の維持に必要な副甲状腺ホルモンを分泌しています。副甲状腺機能低下症とは、この副甲状腺ホルモンの分泌量や作用が低下し、血液中カルシウム濃度の低下やリン濃度の上昇などが起こる病気のことです。
男女の発生頻度には違いはなく、発症例は全国で約900例程度といわれるかなりめずらしい病気となります。
副甲状腺機能低下症を発症する原因としては、遺伝子異常、頸部の手術や外傷による副甲状腺の障害、また副甲状腺に対する自己抗体などが考えられています。ただ、現状では原因が明らかではないケースも多いようです。
遺伝子異常が原因となっている場合、副甲状腺機能低下症は遺伝する場合があります。そのため、家族の中に患者がいる場合には検査を受けた方が良いでしょう。
副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度を上昇させるように働くものです。
そのため副甲状腺機能低下症では、主に血液中カルシウム濃度が低下することで起こる変化が症状として現れ、テタニー(手足の筋肉が痙攣したり、手足や口の周りが痺れる症状のこと)などが多く見られます。
痙攣は、重症になると全身に及び、意識を失っててんかんのような発作を示すこともあります。また歯の発育が阻害されたり、白内障が起こりやすくなったりする場合もあります。
副甲状腺機能低下症では次のような症状や身体の変化が生じます。症状が目立ちにくいこともありますが、気になる項目が多い場合はできるだけ早めに病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。
治療には活性型ビタミンD3製剤が用いられます。この薬を定期的に服用することで、血液中カルシウム濃度をほぼ正常に維持することができます。活性型ビタミンD3製剤だけでは症状のコントロールが難しい場合には、カルシウム製剤が併用されることもあります。
血液中カルシウム濃度の低下が改善すれば、テタニーや全身痙攣などの症状はほとんど見られなくなります。多くの患者は、ほとんど自覚症状なく通常の日常生活を送ることができています。
薬の内服を中断すると、血液中カルシウム濃度が低下して症状が出現してしまう場合があるため、定期的な薬の内服が治療においては極めて重要です。
また、同じ量の薬を服用していても、腎機能の変化などにより血液中カルシウム濃度が変動することがあります。そのため、定期的に医療機関を受診して血液中カルシウム濃度などを確認する必要があります。
副甲状腺機能低下症は、定期的に薬を服用し適切に治療を行うことで、自覚症状なく日常生活を送ることが可能な病気です。ただし症状の出現原因となる血液中カルシルム濃度に変動がないか、医療機関で定期的に確認していくことが必要です。症状を起こさないためにも、受診は忘れずに行うようにしましょう。