記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
マルファン症候群とは、結合組織に異常が起こり、骨の変形や皮膚や血管が脆弱になってしまう病気です。この病気を発症するとどのような症状があらわれるのでしょうか。また、この病気は遺伝するのでしょうか。マルファン症候群の基礎知識を紹介していきます。
身体には結合組織というものがあり、これらは身体の各組織を支持したり、組織の形状を保ったりする役割をもっています。マルファン症候群は結合組織に異常を来す病気です。骨格や眼球の他、内臓器官が変形するといった症状が現れます。
日本では指定難病として扱われている病気です。罹患すると固定された症状ではなく、多彩なトラブルが起こるために症候群と呼ばれています。
このマルファン症候群は先天性の遺伝病であり、男女や肌の色、住んでいる環境に関係なく5,000人に1人の割合で罹患するといわれています。親がマルファン症候群の場合には発症するリスクが高くなりますが、確実に遺伝するというわけではなく子供には発症しないケースもあります。子供が発症しなかった場合は、その子へマルファン症候群が隔世遺伝することは無いと考えられています。
原因遺伝子はFBN1と呼ばれるもので、これが変異しているためにマルファン症候群を発症します。新生児の段階で、突発的にFBN1が変異することもあり、この場合では両親がマルファン症候群でなくても、発症することになります。
マルファン症候群は全身に幅広い症状が現れ、人によって症状の出方や程度も変わって来ます。大きなハンデを背負って生活していかなくてはいけない人から、本人は気づかないほどの微小な症状しか現れない人まで様々であり、一様に同じ症状が出るわけではなく、個人によって大きく異なります。
代表的なものでは、背骨が歪曲したり胸骨が変形するなどの骨格へ異常が出るケースです。目に関しては水晶体偏位と言う症状が現れ、視力が弱くなることも少なくありません。心臓の近くにある大動脈に問題が生じるケースもあり、この場合は大動脈瘤や大動脈解離といった病気として現れることがあります。その他にも、呼吸の問題や腰痛、気胸などの症状が現れることもあります。
上記でも触れたように、マルファン症候群はFBN1と呼ばれる遺伝子が変異することで、身体中の設計に狂いが生じてしまうことで発症します。FBN1は結合組織を作る際には司令塔のような役割を担うため、上手く機能しなくなると、骨が伸び過ぎたり脆くなったり、目や心臓と言った器官も上手く形成されまかったりなど様々な問題が起こり、その結果、視力障害や大動脈瘤、大動脈乖離などの発症につながります。
マルファン症候群はFBN1という遺伝子の異常で起こる遺伝病です。発症しても本人が気づかないような軽い症状で済む場合もあれば、大動脈乖離のような命に関わる症状に発展することもあります。現在では早期に適切な治療を受けることで命に関わるような深刻な症状への発展を防げるとされ、多くの人が普通に生活をしているといわれています。