記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/12 記事改定日: 2019/6/11
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
小学校低学年くらいの段階で、性的な発育が身体上にみられた場合、「思春期早発症」の可能性があります。思春期早発症の症状の特徴について、女児・男児ごとに以降で詳しく解説していきます。
思春期早発症とは、通常よりも早い時期に思春期に見られる兆候が現れることをいいます。思春期は性差がはっきりしてくる時期で、女児は女性らしく男児は男性らしく体つきも変化していくのが一般的です。女の子の場合には10歳頃から思春期を迎え、男の子の場合には12歳頃から思春期を迎えます。
ところが思春期早発症の場合にはそれよりも早い段階で、体に変化が現れてしまいます。
発育が早いだけであれば何も問題ないように思われますが、身長があまり伸びずに小柄な体形になってしまうことがあります。
これは早期に体が出来上がってしまうためで、一時的に身長は伸びるもののそこで成長が止まってしまうことで起こります。また、幼い年齢で陰毛が生えたり生理が始まったりすることによって、心理的なストレスを感じるなど、二次的な障害を抱える可能性もあります。
一般的に睾丸(精巣)は9歳~13歳頃に発達していきますが、思春期早発症を発症した男児は、9歳までに睾丸(精巣)が発育が始まり、10歳までに陰毛が生えるといった症状が見られるようになります。また、11歳までにわき毛や髭が生えたり声変わりが起こったりします。
これらの症状が見られたときには治療の必要がありますが、男児の場合は女児と違って乳房のふくらむといったはっきりした変化が現れないため、本人も周囲の大人も気付きにくいといった問題があります。
特に睾丸が発育しているかどうかというのは、専門医でなければ判断しにくいです。
一般的に乳房が膨らみ始めるのは7歳6か月~12歳頃ですが、思春期早発症を発症した女児は、それよりも前に膨らみ始めます。乳房の膨らみは思春期早発症の症状の中でも、一番気づきやすい症状です。
わき毛や陰毛は8歳までに生えてきたり、一般的に10歳6か月頃から14歳頃とされる初潮も、10歳6か月までに始まってしまうこともあります。
女児の場合は乳房の膨らみや月経の始まりなどで気づきやすいのですが、周囲の人にも気づかれてやすいので、本人が悩みを抱えやすく心理的なケアが大切になってきます。
思春期早発症は将来的な低身長などを予防するため、薬剤を使用して思春期が進まないように調整する治療が行われます。
どのような原因で思春期早発症を発症したかによって治療方法は異なりますが、性ホルモンの分泌を促すホルモンの働きを抑制する「LH-RHアナログ」と呼ばれる薬を使用した治療が行われます。月に一回の注射を行うことで、性ホルモンの分泌を抑え、思春期の進行を遅らせることが可能です。
また、「LH-RHアナログ」による治療は、身体の成長度合いやホルモン分泌量などをチェックしながら行い薬の量を調節したり、治療を中止するタイミングを計っていくのが一般的です。
思春期早発症は発育が早く始まってしまうだけでなく、低身長も引き起こす恐れがある病気です。ホルモン検査などで診断可能な病気なので、お子さんに心当たりのある症状がみられた場合は、専門の医療機関にて検査を申し込みましょう。