記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
悪性リンパ腫とは、リンパ球ががん化してしまう病気であり、いわゆる「血液のがん」です。このがんはリンパ節のほかにも、様々な臓器に発生する可能性があり、再発の可能性も高いといわれています。この記事では、悪性リンパ腫が再発したときの治療についてまとめています。
悪性リンパ腫は、細胞の異常によっておこる「がん」の一種です。白血球のひとつである「リンパ球」のがん化が原因であり、「血液のがん」ともいえます。
リンパ節、脾臓や扁桃腺などのリンパ組織はもちろんのこと、胃や肺、肝臓、腸管、骨髄、皮膚、脳などに発生することもあり、症状も治療の方法もさまざまです。ひとくちに「悪性リンパ腫」といっても、80種以上も種類があるといわれており、まずは正確な診断をうけることが非常に大切になります。
自覚できる症状として代表的なものは、リンパ節の腫れです。リンパ節がある、頸(くび)、鎖骨のあたり、わきの下、足の付け根などをさわったときに、腫れやしこりを感じます。このとき、痛みがある場合は少なく、大きさが1.5cm以上あることがひとつの目安になります。一方で、胃や腸などの消化器官や肺など一見リンパ節と関係がなさそうな部位の不調としてあらわれる場合があり、ほかにも体のむくみや発熱、体重の減少、寝汗が多くなるなどの自覚症状を感じることもあります。
悪性リンパ腫は、再発する可能性が高い病気であるといわれています。これは、リンパ節は全身をめぐっているため転移しやすく、前回とはまたちがう場所にも発生してしまう可能性があるためです。
特に、症状の進行が遅い低悪性リンパ腫は、治療効果が高いものの、再発の可能性も高いといわれています。定期的に病院で検査をし、経過をみることが非常に大切です。
初回の悪性リンパ腫の治療法としては現在「R-CHOP法」というものが主流になっています。これは、3種の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)と副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)を組み合わせた、「CHOP療法」と呼ばれるものに、「R=リツキサン(リツキシマブ)」という抗体の投与をプラスした治療法です。
このリツキサンの投与は、悪性リンパ腫全体の治療法としては画期的な成果をあげているといわれています。しかし、現状では低悪性リンパ腫の再発を完全にくいとめきれるものではありません。
そこで現在、再発の治療においては、リツキサンの単独使用や、新しい抗がん剤による治療が行われています。新しい抗がん剤として注目されているのは、リツキサンとの相性がよく、脱毛や吐き気などの副作用がないフルダラビン、吐き気の副作用が強いものの、腫瘍を小さくする効果に優れているベンダムスチン塩酸塩などです。
また、今まで固形がんの治療に使われていたゲムシタビンを、血液のがんの治療薬として使用することも認められるようになりました。今後、さらに新しい治療薬の登場も期待されています。
リンパ球のがん化によっておこる悪性リンパ腫は、リンパ節に限らない全身のさまざま部位で発生してしまううえ、自覚するのも難しい病気。再発の可能性もあります。部位や種類をしっかり特定し、適切な治療を受けること、そして、治療後も定期的な経過観察をすることが大切です。新しい治療法は日々研究されていますので、信頼できる医師と相談しながら治療をすすめていきましょう。