記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
気胸とは、肺に穴があいてしまい、漏れでた空気が肺を圧迫することで肺が縮んでしまう病気です。気胸の治療は手術が選択されることが多いといわれていますが、これはいったいなぜでしょうか。気胸の治療方法とあわせて詳しく解説いたします。
気胸は、肺に穴があき空気が漏れることで、胸腔に逃げ場がなくなった空気が溜まってしまい肺が縮んでいく病気です。
息苦しさなどの症状が現れ、胸部X線(レントゲン)検査で肺が縮んでいることを確認して診断されます。
気胸の大半は片側の肺に起こり、初期の頃ははっきりした症状が現れなくても、放置していると悪化し、呼吸困難に陥ることもあるので注意が必要です。
また、両方の肺に気胸が起こった場合や、緊張性気胸という重度の気胸になると、呼吸困難や心停止を引き起こし死に至るおそれがあります。
気胸の治療法は状態により変わってきます。肺の穴が小さく軽度の気胸の場合は、しばらく安静にしていれば改善することも少なくありません。しかし、胸腔内に漏れ出している空気量が多い場合は、外からチューブを挿入して胸腔に溜まった空気を排出する必要があります。また、空気の漏れが止まらない場合は、チューブから血液や薬を入れて胸膜を癒着させて改善を目指したり(胸膜癒着術)、穴をふさぐ手術(開胸手術、胸腔鏡下手術)をすることもあります。ただし、現状では胸腔鏡下手術を選択することが多いようです。
気胸は再発しやすい傾向がありますが、中には再発しない人がいることも事実です。しかし、再発するタイミングが人生の転機などに重なってしまうと、今後のライフスタイルに影響する可能性があります。
もちろん、軽度の気胸で再び肺に穴があくことがないと判断された場合は、特別な治療はしませんが、肺の上に空気が溜まる袋(ブラ)が認められる場合は、治癒後も再発するおそれがあるため、手術での切除が検討されます。
手術は全身麻酔下で行われます。胸腔鏡下手術では、胸部に1cm程度の穴をあけ、胸腔鏡(カメラ)や切除用のアームを挿入し、肺の状態を確認しながら切除が行われます。
一般的には胸腔鏡下手術よりも開胸手術の方が再発率が低いといわれていますが、胸腔鏡下手術の方が体の負担が少なく、切開する大きさも小さくて済みます。審美面のこともあるため、上記でも触れたように現状では胸腔鏡下手術が選択されることが多いようです。また、胸膜被覆(切除したところに体内に吸収されるシートを貼る治療法)を併用することで、再発率を大きく下げることができると考えられています。
気胸は再発率が高い病気とされているため、再発のタイミングが悪いと人生のスケジュールに大きく影響してしまうこともあるでしょう。そのため、再発の可能性が高いとみなされる気胸については手術が選択されることが多いのです。しかし、軽度の気胸については治療の必要がない場合もあります。胸腔鏡下手術の登場で体の負担が少なくなったとはいえ、手術には必ずリスクが伴います。医師と相談しながら、十分納得したうえで治療方法を決定するようにしてください。