記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/25 記事改定日: 2018/12/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心身症の主な原因はストレスです。ストレスというと大人のものという印象を持つ人もいるかもしれませんが、実は子供がストレスを抱えている可能性もゼロではありません。
この記事では、子供の心身症の原因と対処法、治療の進め方について解説しています。
心身症とは、「社会的な因子」と「心理的な因子」が密接に関わり合うことで、心が負ったダメージが、身体の不具合として表へ現れる症状をいいます。
心身症を引き起こす「社会的因子」は、友人づきあいや家族関係などが良好でないことなどが原因で心が受けるストレスであり、「心理的因子」としては、その人の心がもともと、ストレスを受けていても気づきにくい性格であったり、ストレスの影響を受けやすい遺伝的体質を持っている状態のことです。
「子供はいつも元気だし、世の中や家庭のことを、まだそれほど理解してないし、ストレスなんか溜めるのだろうか? まして心身症なんて……」 と考える人もいるかもしれません。
しかし、残念ながら子供もストレスが溜まります。
社会や家庭で嫌なことが起きているのを敏感に察知する子供もいますし、逆に、自分が受けているストレスに気づかず、知らず知らずのうちに深刻な心のダメージを受けている子供もいます。
ですから、子供であっても心身症にかかるリスクはあるのです。
学校や幼稚園、保育園にも、ひとつの立派な「社会」です。
クラスの友達や教師、部活仲間との人間関係がうまくいかないこともあるでしょう。また、テストや部活でいい成績をおさめ、自分は優等生であろうと努力を続けている子供が、自覚なくストレスを抱え込んでいる場合もあります。
家庭内でも、夫婦仲が悪い様子を子供の前で見せたり、学校や部活の成績、家の手伝いなどで過度のプレッシャーを与えたりすると、やはりストレスを受けるきっかけになります。
心身症の具体的症状としては、おもに次のようなものがみられます。
ただし、いずれも心身症でなくても起きうる症状です。内科や心療内科など複数の医師の診断を受けた方がいい場合もあります。
まずは、心が受けたダメージのせいで、身体に出ている症状の治療に専念するよう、無理せずに身体を休ませてあげましょう。
もちろん、身体の次には心のケアも必要です。「お兄ちゃんなんだから、我慢しなさい」などと一方的に説教をしたり、「誰にいじめられたの? 正直に言いなさい」と問い詰めたりすると、子供はますます追い込まれ、心を閉ざしてしまう可能性があります。これからの心身の健康な成長にも悪影響を及ぼしかねません。
子供も辛い気持ちを吐き出したいと思うこともあるのではないでしょうか。良い子を演じるばかりでなく、愚痴や文句を言いたいときもあるでしょう。その声に、率直に耳を傾け、寄り添ってあげるようにしてください。
子供は自分の症状や悩み、ストレスなどを上手く言葉で表現することができないことが多く、「なんとなく体調が優れない」、「原因不明の病気にかかっている」とみなされ、様々な検査を繰り返し、心身症の発見が遅れるケースが多々あります。
しかし、心身症は症状の長期化を防ぐためにもできるだけ早く治療をはじめる必要があります。
心身症の治療は、身体の治療と心の治療に分けられます。それぞれの特徴は以下の通りです。
下痢や嘔吐、片頭痛など心身症によって生じる様々な症状に対する治療が行われます。心身症の症状は基本的には薬物療法で軽快しますが、効果は一時的なもので、すぐに再発を繰り返すのが特徴です。
また、脱水症や呼吸困難などに陥るような場合には入院して点滴治療などを行う場合もあります。
心身症の治療で最も大切なのは心の治療です。心身症の原因となっているストレスや不安を取り除くことで、身体的な症状も徐々に改善していきます。
そのためには、心療内科などでのカウンセリングや認知行動療法などが有効です。また、抑うつ状態や過度な不安感、睡眠障害がある場合は抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの投与が行われる事もあります。
心身症は大人だけの症状ではありません。子供にも起こる危険性があるのです。それも、親御さんの何気ないひとことや行動をきっかけに、心に見えない傷を負ってる場合があります。
立派な心を持つひとりの人間であることを忘れずに接するように心がけ、子供の声や変化を注意深く汲み取るようにしながら、寄り添ってあげるようにしましょう。
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