緘黙症(かんもくしょう)は大人になったら自然に治るの?

2017/12/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

緘黙症(かんもくしょう)とは、言語能力や発話能力には問題がないのに、特定の場面で話せなくなることを言います。注意深く観察しないと、ただの「恥ずかしがり屋さん」と勘違いしてしまい、治療が遅れてしまうケースもあるので注意が必要です。この記事では、緘黙症について詳しく解説していきます。

緘黙症(かんもくしょう)について

緘黙症とは、普段は問題なく話をできる人が、特定の状況や場面に置かれてしまうと、とたんにしゃべれなくなる症状をいいます。言語を理解する能力や、発話能力には問題がないので、精神面で不具合が生じているときに発症するものと考えられています。

緘黙症には、大きく分けて2種類があります。

場面緘黙症(選択性緘黙症)

場面によって、しゃべれるときとしゃべれないときがある緘黙症です。

全緘黙症

言語能力や発話能力は備わっているのに、常にしゃべれない状態の緘黙症です。

とはいえ、しゃべれなくなる場面には個人差があります。また、全くしゃべれないのか、うめき声のようなものは出せるのか、身振り手振りで感情表現すらできないのか……など、緘黙の程度も人によって異なります。

緘黙症は、人見知りや恥ずかしがりとは違うの?

緘黙症は、保育園や幼稚園にあがる年齢の幼児がかかりやすい症状です。

人前で話せなくなったり、他人との交流を避けたりする「人見知り」や「恥ずかしがり屋」に近いのですが、人見知りや恥ずかしがり屋の子供は、初対面の相手を警戒するのであって、一度気を許せば、仲良く話せる特定の友達がいたりします。また、家に帰れば家族とは普通に話せます。

緘黙症の子供は、恥ずかしいとか、会話が苦手どころの問題ではなく、幼稚園や学校など特定の場所や場面で「声が出なくなる」症状です。
緘黙症は、何か月、何年と交流していて、気分がリラックスしている相手とも、ずっと話せないままとなります。また、全緘黙症になると、家族などの大変親しい相手とも話せません。これらが「人見知り」や「恥ずかしがり屋」との違いです。

「大人になったら自然と治る」って本当?

緘黙症は成長とともに症状が自然と改善されていき、打ち解けた相手と話せるようにはなっていくことが多いといわれています。
しかし、場面緘黙症は不安症や恐怖症の一種とされています。一見すると治ったように思えても、心の奥底で、社会に対する根本的な不安や恐怖感は無くなっていない可能性があるのです。

そのまま成人すると、人間不信の感情が残っている状態で社会に出ることになり、社交不安障害やうつなどの問題に発展しかねません。基本的な社会生活に支障を来すおそれがあるため、親や学校の教師も、単なる「大人しい子」扱いをして、緘黙症を放置しないよう、言動の変化に注意を払ってあげる必要があるでしょう。

おわりに:緘黙症は単なる恥ずかしがり屋ではない。気になる場合は専門家に相談しよう

緘黙症の子供は、「恥ずかしがり屋さん」とは違い、心の奥底に強い不安感や恐怖心を根付かせています。場面緘黙症の子供であれば、学校生活など特定のシチュエーションでのみ、声が出なくなってしまいます。「この子、ひょっとして緘黙症かも?」と思ったら、医師や臨床心理士、言語聴覚士などの専門家に相談し、適切な治療を行うようにしましょう。

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