記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/1 記事改定日: 2018/2/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肥満が進むと、医学的な治療が必要になる肥満症に発展する可能性があります。肥満症は生活習慣病のリスクを高め、深刻な病気を併発する可能性があるので注意が必要です。この記事では、肥満症の治療方法とともに、予防法を解説します。肥満気味の方はもちろん、なんとかしたい! と思う方もぜひご覧ください。
肥満症とは、医学的に見て減量治療をしなければならないと判断される状態で、一種の病気として捉えられます。
日本人の場合、BMI〔体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕の値が25以上になると、体脂肪が多い「肥満」とされます。そして、BMI25以上に加えて、以下の条件のいずれかを満たしていると、病院で肥満症と診断されます。
・肥満が原因、もしくは肥満と関連する「11の疾患」のうち、ひとつでも発症している
・「11の疾患」は発症していないが、CT検査で内臓脂肪の量が100平方cm以上ある
11の疾患とは、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪肝、月経異常・不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、変形性膝関節症・変形性股関節症、肥満関連腎臓病です。
肥満症は、消費しているカロリーよりも、食べ物として摂取しているカロリーのほうが多いために起こります。言い換えると、消費カロリーを増やして摂取カロリーを減らせば肥満症は解消する可能性がある、ということです。
そのため、肥満症を解消するためには生活習慣の見直しが必要です。でも、これまでの生活習慣を変えるのは、思いのほか難しいものです。また、無理なダイエットをして体調を崩したり、リバウンドしたりする可能性もあります。肥満症の治療を効果的に、かつ、健康を損なうことなく行うためにも、医師の指導を受けながらやせるのがおすすめです。まずは、体重の3パーセント以上の減量を目標にしましょう。
以下に、肥満症の治療法をご紹介します。
食事の内容や回数、食べ方などを見直すことで摂取カロリーをコントロールし、体重を減らします。主な指導は以下の通りです。
・1日3食しっかり食べる
・ゆっくり噛んで食べる
・肉(魚や卵)・野菜・ごはん(パンや麺)を、バランスよく食べる
・夜間に食べ過ぎない
身体を積極的に動かすと、消費カロリーが増えるので肥満症の解消につながります。最初はウォーキングや散歩、階段の昇り降りなど、気軽にできる運動から始めてみましょう。身体を動かすことに慣れてきたら、距離や時間を延ばしたり、回数を増やしたりしてみてください。
また、ウエイトトレーニングなどで筋肉量を増やすと基礎代謝も上がります。基礎代謝が上がると、身体を動かしていないときでもカロリーが消費されやすい体質になります。
ほとんどの人は、食事療法と運動療法で体重が落ちるとともに、内臓脂肪が少なくなるので、血圧や血糖値が改善できると思います。しかし、食事療法や運動療法では症状を改善することが難しい場合、薬物療法も行うことがあります。
薬物療法が必要なのは、BMIが35以上の「高度肥満」と呼ばれる人たちです。高度肥満になると、必要以上の体脂肪が身体に負担をかけ続けてしまい、心筋梗塞、脳卒中などの致命的な疾病リスクが高まってしまうためです。
肥満症の解消のために使われる薬として、マジンドールがあります。この薬は食欲抑制剤として用いられるもので、日本国内で数少ない、厚生労働省の認可済みの「抗肥満症」の薬です。脳の食欲中枢に直接作用して食欲を減退させる効果があるため、摂取カロリーが減ると同時に肥満症も解消することができます。
ただし、この薬は依存性があるため、長期にわたって服用すると、食欲減退効果が薄れるおそれがあります。このため、服用は最大3カ月までと決められています。
肥満症を予防するためには、食事や運動を見直して、太らない生活を心がけることが大切です。参考までに、以下に改善のポイントをご紹介します。
・1日3食しっかり食べよう
・食事はゆっくり、よく噛んで食べよう
・脂肪(揚げ物、肉類)や糖分(清涼飲料水、お菓子など)の摂りすぎに気をつけよう
・アルコールは控えめにしよう
・夜遅い時間に食べるのは控えよう
・駅ではエスカレーターではなく、階段を使おう
・ひと駅歩く習慣を心がけよう
BMIが25以上になるとともに、肥満に関連する疾患も発症すると、肥満症という病気になります。肥満症になると、脳梗塞や冠動脈疾患など、命の危険が及ぶ恐れがあります。深刻な状態になる前に、医師の指導を受けながら食事の改善や運動に取り組み、体重を減らしましょう。