咽頭癌の治療法を発症部位別に解説します

2017/12/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

咽頭癌とは咽頭にできる癌であり、癌ができる部位により上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌に分けられます。それぞれ症状が異なり、治療方法も変わってきます。この記事では、咽頭癌の治療方法について、部位別に分けて詳しく紹介していきますので参考にしてください。

咽頭癌はどんな病気?

咽頭(いんとう)は鼻の奥から食道の入口までの食べ物と空気が通る部分で、上から上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つに分けられます。「咽頭癌」は咽頭のどの部分にできるかによって症状が異なります。

上咽頭癌では、難聴や耳鳴り、視力の低下、鼻づまりや鼻出血、首の腫れ、進行すると脳神経のまひなどがあらわれます。中咽頭癌では、扁桃腺(へんとうせん)に腫れや痛みがでて、進行すると食べ物がうまく飲み込めず呼吸障害なども起こります。下咽頭癌では、声枯れや呼吸困難、進行すると首にしこりができることもあります。下咽頭癌では初期症状がほとんどないため、かなり進行した状態で見つかることも少なくありません。

上咽頭癌、中咽頭癌の治療法とは

上咽頭癌、中咽頭癌とも、放射線が効きやすい癌といわれています。特に上咽頭癌は抗がん剤も効きやすく、これらを組み合わせた化学放射線治療を行うのが一般的です。ただし、肺や肝臓や骨など他の部位に転移しやすいがんともいわれています。
中咽頭癌は、上咽頭癌と比較すると抗がん剤が効きにくいという特徴があるため、化学放射線療法を行う場合と手術療法を行う場合に分かれます。口から見える部分であれば早期に発見されることもあるため、内視鏡の進歩もあって比較的簡単に取り除くことができます。しかし奥の方にできるとわかりにくく、進行している場合は癌の切除と同時に首のリンパ節を切除することが多く、癌の切除をしたところにお腹の筋肉などを移植します。

下咽頭癌の基本的な治療法とは

下咽頭癌は、のどぼとけの骨のあたりにできるもので症状がでにくく、首のリンパ節に転移したり隣の喉頭(こうとう)にまで広がってしまうリスクが高いです。早期であれば化学放射線治療と首のリンパ節切除で完治が見込めますが、進行している場合は手術療法が一般的です。

これまでの手術では、下咽頭と食道の一部および首のリンパ節、喉頭を取ってしまう場合がほとんどでした。咽頭や食道は腸の一部などを移植してつくり治しますが、喉頭を切除したあとには永久気管孔という呼吸のための穴をつくります。喉頭を全部取らざるを得ない場合には、声帯が失われ声がだせなくなってしまいます。

下咽頭癌における声を失わないための治療について

喉頭を温存し声帯を失わないためには、3つの治療法があります。
癌の広がりが少なければ下咽頭の癌だけを切除する「下咽頭部切除術」があります。ただし胃に流動食用の穴をつくったり、食べ物を飲み込むリハビリが必要となります。また、内視鏡の進歩により「経口的下咽頭部切除術」で首を切開せず口から内視鏡やレーザーを使用して癌部分をはがし取る方法があります。ただし癌の進行状態によって行えない場合があります。

その他、新しい治療法として「超選択的抗がん剤動注療法」という、がんを育てる栄養血管にカテーテルを通して大量の抗がん剤を送り込みつつ放射線治療を行う方法があります。

おわりに:早期発見により完治も可能。気になる症状があれば早めに専門医に相談を

咽頭癌は、早期に見つけ適切な治療を行えば完治が可能な病気です。しかし進行してしまうと、声や命を失うことになるかもしれません。気になる症状があれば早めに専門医に相談しましょう。特に症状が出にくい下咽頭癌を避けるには定期健診も大切です。

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