記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胆嚢に炎症が発生する「胆嚢炎(たんのうえん)」。では、胆嚢炎になるとどんな症状が現れるのでしょうか。そもそも何が原因で発症するのでしょうか。胆嚢炎の種類別に解説していきます。
胆嚢炎(たんのうえん)は、食後に右上腹部や背中の激しい痛みが起こり、嘔吐や吐き気がみられる病気です。急性胆嚢炎と慢性胆嚢炎があり、急性胆嚢炎は、結石によって胆嚢管が閉塞してしまうことに続き、胆嚢壁の粘膜が炎症を起こす症状です。一方、慢性胆嚢炎は、繰り返し炎症が起こることで胆嚢壁が厚くなってしまい、胆嚢自身が収縮していく症状です。
急性胆嚢炎は、胆嚢内で細菌が感染をおこした病気で、胆嚢結石によって菌が繁殖したことが原因の場合がほとんどです。菌が繁殖すると、胆嚢結石が胆嚢の出口で詰まってしまい、胆汁の流れが悪くなってしまうため、初期症状としては右上腹部の痛みや呼気時の腹痛、吐き気や嘔吐、発熱などが起こります。炎症が持続してしまうと、右腹腔内で癒着が起こる場合もあります。
急性胆嚢炎になりやすい人は以下のとおりです。
・胆石のある人
・敗血症を起こしている人
・大手術をした後の人
・長い期間食事をとらずに点滴で栄養をとっている人
・長い期間絶食している人
急性胆嚢炎は自然に治癒することもありますが、症状が続く場合には合併症を引き起こしている可能性がありますから、早期に医療機関を受診する必要があります。急性胆嚢炎の場合には貯留した膿を体外へと排出する必要があるので、内視鏡を使って膿を排出する方法がとられます。なお、内視鏡で膿がとりきれないような場合には、開腹手術が行われます。併せて、抗菌薬による治療も進めていきます。
慢性胆嚢炎は慢性的に胆嚢が炎症を起こしている状態です。急性胆嚢炎によって引き起こされるものと、最初から発症するものがあります。多くの場合、胆石による刺激で胆嚢壁が慢性的な炎症を起こしたことで、壁が肥厚して引き起こされます。
急性胆嚢炎のような激しい痛みはそれほどありませんが、気が付いた時には胆嚢組織が破壊されている場合も少なくありません。症状としては、膨満感や不快感などの症状がみられますが、小さな臓器に起こる炎症ですから、大きな苦痛を起こすことはほとんどありません。また、血液検査をしても異常は特に見当たらないのも特徴となっています。
しかし、血液検査では発見は難しくても、超音波検査やCTスキャンでは胆嚢の萎縮を発見することができます。慢性胆嚢炎はたとえ症状が軽度であっても、そのまま放置してしまうと全体が石灰化してしまい、磁器様胆嚢などを合併してしまう場合もありますから、十分注意が必要です。症状によっては手術の適応となります。
胆嚢炎は早期に発見できれば、点滴によって抗菌薬を投与する事で症状の悪化を防ぐことができますが、長期間放置してしまうと胆嚢を取り除く手術が必要となり、胆嚢の機能が失われてしまい、胆汁をためておけなくなってしまいます。しかし、胆嚢を摘出することで、下痢の症状に悩まされてしまうケースもありますから、胆嚢炎は早期発見をして早期に治療を行うことが大切です。
急性胆嚢炎の場合は右上腹部に激痛が現れるのに対し、慢性胆嚢炎の場合は自覚症状が乏しいなど、同じ胆嚢炎でも症状にはかなりの差があります。いずれも放置すると重篤化するリスクがあるので、少しでも異変に気づいたら、念のため病院で検査を受けることをおすすめします。