記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子宮が腟の外側に飛び出してしまう「子宮脱」を予防するためには、骨盤底筋エクササイズが有効です。今回の記事では、日常的に手軽に行える骨盤底筋エクササイズのやり方を詳しくご紹介していきます。
骨盤底筋というのは骨盤の底にある筋肉で、膀胱、直腸、子宮を支える役割があります。臓器を支えることだけでなく、排泄のコントロールという機能も司っています。骨盤底筋は出産や加齢で衰えることが多く、年と共に尿もれの悩みが多くなるのは、骨盤底筋の力が弱ってきているからです。そのため骨盤底筋トレーニングを行って筋肉を鍛えることで、尿もれなどの症状を改善することができます。
骨盤底筋トレーニングは毎日少しずつ行うことが大切で、2ヶ月間続けた人のうち尿もれの改善という効果があった人は半数以上になります。さらに骨盤底筋を鍛えることには、便秘や冷えの改善、女性ホルモンの分泌を促すといった女性にとって嬉しい効果があると言われています。
骨盤底筋のトレーニングを行う前には、骨盤を正しい位置で使えるように、前傾させたり後傾させたりして骨盤を揺らす準備運動をしましょう。仰向けになってひざを曲げて、骨盤を前傾させたり後傾させたりして骨盤底筋を鍛える感覚を身につけます。
次に骨盤底筋をほぐす動きを行います。正座をして手を胸の前で組み、お尻を左右にずらし、ずらした状態でお尻を床につけます。やりにくいと感じるほうは2回お尻を床につけるようにして多めに行います。
その後は、骨盤はさみを行います。足の間にクッションなどを挟み、太ももがきついと感じるまで足を曲げます。そのままの姿勢でお尻を後ろへ突き出し、次にお尻をももの間にしまうような感じで前に戻します。
骨盤底筋トレーニングの応用編では、足の筋肉もお尻の筋肉も使う運動を行います。
まず、足を肩幅よりも大きく広げ、つま先を外側に向けます。その姿勢から両ひざを曲げて腰を落としていき、股関節を十分に開きます。ひざが痛くならないように気をつけて行いましょう。そこから足を内またにして猫背の姿勢をとります。この時にはお尻を締めることを意識して行うと効果的です。そして内またにしたまま息を吸いながら腰を反らしてお尻を軽く突き出します。
次に息を吐きながらお尻を桃の間にしまい込むようにしながらお尻に力を入れて体を丸めます。常にお尻を意識してお尻を締めるようにしながら行うことがポイントです。慣れるまでは体を痛めないようにゆっくりと行いましょう。
骨盤底筋は内臓を支えている筋肉なので、筋力が弱ることで内臓の位置がずれてしまい、ひどくなると支えている内臓のひとつである子宮が体の外に出てしまうことがあります。これを子宮脱といいますが、子宮脱は子宮が体の外に出てくるまで自覚症状がないことがあります。しかし、子宮が体の外にまで出てしまっている状態はかなり筋力が低下しているサインで、そこまで子宮脱が進んでしまうと子宮を元の位置に戻すことが難しくなります。
子宮脱は症状が悪化しないうちに予防することが大切です。骨盤底筋を鍛えることで子宮脱の症状を改善することができ、子宮を正しい位置にとどめておくことができます。骨盤底筋トレーニングを毎日コツコツと続けて子宮脱を予防しましょう。
子宮脱は、年齢を重ねていくごとに発症率が上がる傾向にあります。いまから予防するために、ご紹介した骨盤底筋トレーニングを日常的に取り入れてみてくださいね。