記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
中年以降の女性に特に多くみられる「脂肪腫」ですが、脂肪腫は治療したほうがいいのでしょうか?治療の必要性について、放置した場合のリスクと併せて解説していきます。
脂肪腫は、皮下にある良性の腫瘍のことです。少し弾力がある柔らかいしこりのようなものですが、ほとんど痛みはありません。脂肪腫ができやすい場所は背部や肩、頸部などですが、上腕や殿部、大腿部、そして背中などの目に見えない場所にできることもあります。ゆっくりと大きくなる傾向があるため、気がついた時にはかなりの大きさになっていることもあります。大きさは数mm程度のものから10cm以上の巨大なものまでさまざまです。
脂肪腫は幼少期のころからできることがありますが、気がつかないまま放置することが多く、40から50歳くらいになってから巨大化したものを発見することがあります。なお、発生には体質も影響するため、一度に大量に脂肪腫ができてしまうこともあります。
脂肪腫は、基本的に手術によって取り除きます。メスで脂肪腫を切除して治療を行い、異常な部分を摘出する治療を行います。ただし、粉瘤腫などとは異なり、切開をしなければ体外に出すことができないため、形成外科などで治療をしてもらう必要があります。なお、大きな脂肪腫の手術の場合には、切除した後に大きな空洞ができてしまうため、血液などが溜らないようにドレーン(溜まってきた血液を傷の外に排出させる器具)を挿入して治療を行います。
脂肪腫は大きくなる前に切除した方が良いです。5cm以下であれば局所麻酔で治療を行うことが可能ですが、それ以上に大きくなった場合には、大学病院など設備が整っている医療機関でないと治療が難しくなってしまいます。
また、脂肪腫が小さくなることはほとんどなく、徐々に巨大化します。そして大きくなりすぎた場合には、皮膚が引っ張られて痛みが生じてしまうことが多いため、痛みや違和感などが感じられないうちに治療を進めていくことが大切です。
脂肪腫が大きくなってから治療をすると、手術によって切開をする範囲が大きくなってしまいます。また、手術によって脂肪周辺の組織を大きく取り出すため、大きな空洞ができてしまい、その空洞に血などがたまりやすくなってしまい、違う病気を発症する可能性が高まります。
また、脂肪腫を放置したままにすると、軽度の痛みを伴うようなことがあります。これは血管脂肪腫という病気であり、血管を脂肪が巻き込んで大きくなってしまうため、血流に関する病気が生じるリスクを高めます。
脂肪腫は放置すると巨大化して痛みを引き起こしたり、大掛かりな手術が必要になったりしてしまう恐れがあります。そのため、小さいうちに手術を検討されることをおすすめします。