うつ病、ひきこもり・・・学習障害の二次障害を防ぐには?

2017/12/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

学習障害とは、知的発達に問題がないのに、聞いたり話したり、計算するなどの能力に支障がでることをいいます。適切なサポートやケアができないままでいると、うつ病や不安障害などを引き起こし、ひきこもりや不登校などに発展してしまう可能性があります。
この記事では学習障害が原因で起こるトラブルを防ぐために大切なことをまとめています。

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学習障害(LD)とは?

学習障害は、読み書きが困難な読字障害や書字障害、算数障害の3つに分けることができます。これは、聞く、話す、読む、書く、計算するという5つの能力のなかでも、全てにおいて困難なわけではなく、一部の能力のみ困難であることが多いといわれています。

読むことができても書くのは苦手、算数だけできないなどの偏りが見られることが大半であり、学習障害の子供は

・文字や文章の意味を理解しながら読むことができない
・文章は理解できても書き写すことができない
・数の概念が身につかず数系列の規則性を理解できない
・位置や日時の認知ができない

などの問題を抱えるようになります。

学習障害に気づきにくい理由は?

学習障害は、読むことが困難な読字障害がもっとも多く見られますが、できることとできないことに個人差が大きく出てきます。さらに特定のできない分野以外では特に発達の遅れが見られないという特徴があるため、「がんばればできる」、「努力が足りていない」などと考えてしまいがちになることが発見が遅れやすい理由といえるでしょう。
また、軽度の知的障害や高機能の自閉症と間違いやすいことも理由のひとつかもしれません。

学習障害の二次障害について

学習障害の子供が適切な治療やサポートを受けられずにいた場合、思春期以降に学習障害とは別の症状を引き起こしたり、合併症を発症することがあります。これを学習障害の二次障害と言います。
うつ病や不安障害、不登校、ひきこもり、大人になってからはアルコールなどの依存症を発症する恐れがあるとされ、これらの症状が現れた場合は、それぞれの症状に対して適切な治療が必要になってきます。

学習障害の二次障害に関しては、心理療法のひとつである認知行動療法が有効的であると考えられています。ただし、二次障害を引き起こさないためにも、日頃から子供の様子に気を配り、学習障害の徴候に早く気づくことが大切といえるでしょう。

おわりに:適切なサポートで二次障害を防ぐことが大切

学習障害の二次障害を引き起こすと、それらに対する治療が必要になってきます。心理療法として認知行動療法が有効だと考えられていますが、まずは二次障害を引き起こさないように子供の様子を普段から気にかけて、子供の状態に応じた環境づくりをすることが大切です。
適切なサポートを受けることで子供にやる気や達成感を与えてあげられたり、社会性や周りの人との関わり方を覚えていけるようになることもあります。専門家と相談しながら、子供にあった環境を整えてあげるようにしましょう。

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