記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
白血病の一種である「慢性リンパ性白血病」の、標準的治療法とはいったいどういうものなのでしょうか?具体的な治療法の種類と、治療上の注意点をお伝えします。
慢性リンパ性白血病は、血液中にある白血球に異常が生じる病気です。白血球の一種のリンパ球に異常が生じる病気であり、成熟した小型のBリンパ球と呼ばれるものが無制限に増殖してしまいます。
一般的には、Bリンパ球の増殖で直接身体に悪い影響を与えることはありませんが、徐々にリンパ節や脾臓、肝臓などが腫れていきます。初期症状として体の倦怠感や体重減少、寝汗を多量にかいてしまうことが多いです。他には、リンパ節腫脹や肝脾腫、皮疹などが出ることもあります。また、骨髄の中で白血病細胞が異常に増えてしまった場合には、正常な血液が作ることができない状態になる可能性もあり、貧血の症状が出やすくなります。
年間10万人に3人程の割合で発症している病気であり、30歳以上の人がかかりやすい傾向にあります。高齢になれば発症しやすい病気であるため、体に慢性的な倦怠感が出た場合には、血液検査などをしてこの病気を疑うことが重要です。
慢性リンパ性白血病の治療法には、化学療法、分子標的治療、造血幹細胞移植、支持療法、緩和ケアがあります。
まず化学療法の場合は、抗がん剤であるシクロホスファミド、ビンクリスチン、フルダラビンなどを服用して治療を進めていくことが多いです。
分子標的治療の場合は、分子標的治療薬であるリツキシマブを服用して治療を行います。化学療法と組み合わせて治療を進めていくこともあります。
造血幹細胞移植は、白血球の型が完全に一致した人の健康な造血幹細胞を骨髄に移植してもらう治療方法で、一般的に骨髄移植の名で知られています。
支持療法は、がん細胞自体を殺すような治療方法ではなく、正常な白血球が減少しているため、それを補うような治療法です。
緩和ケアは、慢性リンパ性白血病がかなり進行した人に対して行われ、QOLを重視して、慢性リンパ性白血病が影響で生じる体の痛みなどを和らげる治療内容になっています。
慢性リンパ性白血病の患者さんが、ウイルス性の疾患によって高熱が出てしまった場合には、自分で市販薬を服用して治療をせずに、医師に診てもらうことが大切です。慢性リンパ性白血病の治療薬との相性が悪い薬もあるため、薬の内容を医師や薬剤師に伝えてから治療方法を考えてもらうことが重要になっています。
もしウイルス疾患にかかってしまった場合は、抗菌薬によって治療をすることが多く、症状によっては注射によって投与してもらうこともあります。これは帯状疱疹などのほかの疾患に関しても同様であり、体に何らかの異常が生じた場合には、医師にすぐに連絡を取ることが大切になっています。
慢性リンパ性白血病の患者さんは白血球に異常が出ているため、微熱の場合でも熱がなかなか下がらないような状態が続いてしまうことが多いです。そのため、ちょっとした体の異常でも医師に伝えることが大切です。また、普段から手洗いやうがいをしてウイルス性疾患にかからないように心がける必要があります。
化学療法や分子標的治療、骨髄移植など、慢性リンパ性白血病の治療法は多岐にわたります。特に投薬治療中は、医師の指示なくほかの市販薬を飲んでしまうと思わぬ事態に見舞われるリスクがあるので、もし感染症にかかった場合は、すぐに病院を受診することが大切です。