解離性障害の人への正しい接し方を知ろう

2018/1/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

解離性障害とは、自分が自分であるという認識がなくなってしまう心の病気です。様々な症状が現れ、症状の度合にも個人差があるので、本人も周囲の人も気づきにくいという特徴があります。この記事では解離性障害の人への接し方の注意点について解説しています。

解離性障害とは?

解離性障害は、「自分が自分である」感覚が一時的に失われ、その症状が日常生活に支障をきたす状態をいいます。具体的な症状は、一時的な記憶喪失や失踪(しっそう)、身体が動かなくなる、うまく喋れない、昏睡状態に陥るなど、多岐に渡ります。

主な原因として考えられるのは、ストレスや心的外傷です。心的外傷とは、災害や事故、暴行、慢性的な性的虐待や監禁状態などによる精神的なショックなどがあてはまります。これらの精神的負担を避ける自己防衛反応が、解離性障害につながるとされ、症状は幅広く程度も個人差があるため、医師でも「解離性障害」と判断するのが難しいといわれています。

解離性障害を持つ人にはどう接すれば良いの?

解離性障害を持つ方への接し方としては、主に二つのアプローチがあります。

一点目は、病気に対する理解を深めることです。
解離性障害のことをきちんと知らない方にとっては理解することに難しさを感じるかもしれません。しかし、解離性障害を発症した多くの方は、周囲からその病状を信用されず「演技をしているのではないか」と疑われてしまうことも多く、そのことが原因で症状を余計に悪化させてしまう傾向があります。また周囲だけでなく、本人が自身の症状に気づかないことも珍しくありません。そのため、医師が本人や家族に対して解離性障害に関する情報提供を行い、症状の理解を得ることが大切です。

二点目は、「グランディング」です。グランディングとは、五感を活用して症状を改善させる方法です。たとえば、足を組んで座っていたら両足を床につけるよう声をかけたり、氷を手に握らせたり、日光を浴びさせることで、触覚、視覚、聴覚などを刺激します。この方法で本人の意識を「今」「この場」「自分」に呼び戻し、症状に回復がみられるケースがあるといわれています。

解離性障害のサポートの第一歩は、患者の安全確保から

解離性障害のサポートの第一歩は、本人が安心、安全と感じる環境を周囲が整えてあげることから始まります。
環境を整えるには、家族や友人などの周囲の人や医師が、患者との信頼関係を築けることが重要になってきます。環境が整ってくれば、患者は解離された心の状態を表現しやすくなるでしょう。
その段階まで進むと、時間の経過に伴って症状が自ずと快方に向かったり、別の症状へと移行する場合があります。また、本人にプレッシャーをかけず、社会との接点を失わないようサポートを行うことも忘れないようにしてください。

おわりに:解離性障害を改善するには、周囲の人が理解を深める必要がある!

解離性障害の症状を改善するためには、家族や職場などの周囲の人が早い段階で症状に気づいてあげることが大切です。しかし、周囲の人が理解することは難しく、ときには医師でも判断に迷うケースがあるといわれています。まずは、解離性障害に対する知識を深めることが、私たちにできる第一歩となるでしょう。

 

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