記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
口唇口蓋裂とは、赤ちゃんが生まれたときに唇や上あごのなどに裂け目が残ってしまう先天異常です。口唇口蓋裂は何が原因で発症するのでしょうか。この記事では、口唇口蓋裂の原因とあわせ、治療方法について詳しく解説していきます。
口唇口蓋裂という病気は赤ちゃんが生まれてきたときに、本来なら成形されているはずの口の組織がうまく成形されていないままになってしまい、口に裂け目ができている状態で生まれてくる先天性異常のひとつです。
裂け目ができている部位によって呼び方に違いがあり、くちびるに裂け目があるものを口唇裂、口の中の上あごに裂け目があるものを口蓋裂、歯ぐきに裂け目があるものを顎裂といいます。この3つのうちどれかひとつだけを発症している場合といくつかを同時に発症している場合があり、その程度によって治療方法も違ってきます。口唇口蓋裂は顔面に起こる形態異常の中で最も良く見られる病気で400~600人に1人の割合で起こるとされています。
口唇口蓋裂は発生頻度が高い病気でありながら、まだはっきりとした原因はわかっていません。妊娠4~12週頃になんらかの異常が起こることで口の形成異常が生じることが指摘されていますが、それ以外にも様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。
口唇口蓋裂を起こす可能性を高めると考えられているものには、遺伝的な要因や妊娠中の薬の服用やタバコ、ストレスなどがあります。
口唇口蓋裂のなかでも、機能的な影響が最も大きいとされているのは口蓋裂です。上あごの部分に裂け目ができているために食べたものや空気が裂け目から漏れてしまいます。空気が漏れることで、言葉の発達が遅れたり、息が鼻から漏れているような声になってしまいます。また、裂け目から漏れてしまうので、母乳やミルクを上手に飲むことが難しくなり、栄養を十分に摂取できなくなります。
また口の中の液体が耳の方へ漏れるしまうので、中耳炎を起こしやすくなることも大きな問題といえるでしょう。その他にも、唇が裂けていることで、見た目の問題と唇を上手に動かすことができないという問題を抱えることになり、歯ぐきが裂けていると歯並びの問題もでてきます。
口唇口蓋裂の治療は、生後3~4か月頃に唇をつくる手術を行うことから始まります。唇の裂け目を縫い合わせますが、鼻の方まで裂け目が広がっている場合には鼻の形成なども同時に行うことがあります。
1歳頃になるタイミングで、口内の上あごの奥の部分を閉じる手術を行います。また、頻繁に中耳炎を起こす赤ちゃんに対しては、この時期に中耳炎を予防する手術が検討される場合があります。
手術を終えた後には言葉を話すためのリハビリを行い、そして8~10歳頃に歯ぐきの裂けている部分に骨の移植をして歯ぐきの裂け目をなくす手術を行ったり、上あごの成長が遅い子供に対しては上あごの幅を広げる手術を行います。
これらの手術は決まった時期に行うのではなく、個々の病状や全身状態、合併症の有無などに応じて時期を決定します。
口唇口蓋裂の原因として遺伝や妊娠中の影響などが示唆されていますが、完全に明らかになったわけではありません。そのため、未然に発症を防ぐことはできませんが、出生後に適切な治療をすることで日常生活に支障がないレベルまで回複することができるといわれています。手術をするタイミングについては、子供の状態や症状によって変わってくるので、担当医と相談しながら治療を進めていきましょう。