薬剤?手術? ~ 床ずれの治療法とは ~

2018/1/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

床ずれは、自分の力では身体の向きを変えられないとき、皮膚が長時間圧迫されて酸素や血液が行き渡らなくなると発症します。床ずれができてしまったとき、どのような治療をすればよいのでしょうか。この記事では床ずれの治療法について解説します。

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床ずれについて

床ずれとは臥床(寝たきり)が続き、かつ、自力で身体の向きを変えられないとき、長時間圧迫された皮膚細胞に酸素や血液が行き渡らなくなったために起こるものです。皮膚の一部に発赤やただれ、水泡、傷などができ、進行すると皮膚が黒く変色して皮膚組織が壊死することもあります。
体勢によって異なるものの、一般的に床ずれが生じやすいのは後頭部や肩甲骨、仙骨やかかとといった部位にできやすいと言われています。また、床ずれは栄養状態が極端に悪かったり、皮膚が弱くなっているときにも発症します。

床ずれはどうやって治療するの?

床ずれの治療法として、塗り薬、ドレッシング材、洗浄消毒、手術が挙げられます。
塗り薬は、床ずれの状態と使用目的(床ずれができた部分(創傷)の炎症を抑える、創傷の治癒を促す、保湿しながら創傷を保護するなど)に応じて、最適なものを選びます。
ドレッシング材は、創傷を覆って細菌感染などを予防します。ドレッシング材は創傷にはりつかないタイプのものを使うと、交換時に再生した組織が傷つかず、痛みも少ないため治りが早くなることが期待できます。
洗浄消毒は、創傷とその周囲を清潔にして治癒を促します。洗浄するときは、生理食塩水もしくは水道水を用いることが推奨されています。消毒は正常な組織に影響を与えないよう、創傷の状態に応じて行われます。
手術はデブリードマンと再建術があり、組織が壊死している場合にその部分を切除したり、患者の皮膚を使って創傷を閉じるといったことが行われます。

床ずれの種類によって治療法が違う?!

床ずれは、その症状によって急性期と慢性期に分かれます。
急性期とは、床ずれが生じた直後から約1~3週間の時期にあたるものを指します。症状として、皮膚の発赤や水泡、紫斑などがみられます。
一方、慢性期は急性期の時期以降にあたるものをいい、症状は浅い床ずれと深い床ずれに分類されます。浅い床ずれの場合は急性期と同じように皮膚の発赤や水泡などが見られますが、組織の壊死には至っておらず、比較的短期間で治る可能性があります。しかし、深い床ずれになると組織の壊死がみられることが多く、治癒に時間がかかることがあります。このため、急性期では創傷の炎症を抑えて悪化を防ぐこと、慢性期ではこれらに加えて壊死した組織の切除も考慮する必要があるなど、時期によって治療法が異なるのです。

急性期の床ずれ、慢性期の床ずれの治療法とは?

急性期の床ずれに対する治療法として、塗り薬およびドレッシング材の使用が治療法の中心となることが多いです。一方、慢性期の床ずれに対しては、浅い床ずれの場合には急性期と同じく塗り薬やドレッシング材を使い、深い床ずれの場合には、デブリードマンや再建術などの手術と、塗り薬やドレッシング材を併用した治療法がとられます。手術で壊死した組織の切除などを行うとともに、塗り薬で組織の再生を促したり、ドレッシング材で創傷の保護・保湿をします。

おわりに:床ずれの症状によって治療法は異なる

急性期の床ずれの場合は、塗り薬やドレッシング材を使った治療が中心となりますが、慢性期になると、これらに加えて手術が行われることがあります。床ずれの状態によって治療法が変わりますので、医師に相談して最善の治療を受けることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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