首の腫れ、声のかすれは甲状腺癌のサインかもしれない!?

2018/1/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

甲状腺癌は、のどぼとけの下方にある甲状腺にできた癌で、初期症状を自覚しにくいのが特徴と言われています。この記事では、甲状腺癌を自覚しづらい背景とともに、どのような症状があると癌の可能性があるのかについて解説します。

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甲状腺癌について

甲状腺はのどぼとけの下方にある、蝶が羽を広げたような形をしている臓器で、代謝機能に関わる甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺癌には分化癌(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌)と未分化癌があります。また、甲状腺から発生する悪性リンパ腫も、甲状腺癌に分類されることがあります。癌の種類によって症状や悪性の度合いが異なりますが、甲状腺癌患者の約9割を占める乳頭癌は癌全体の中でも比較的悪性度が低く、予後が良いとされています。甲状腺の病気は癌以外でも初期症状がわかりにくいと言われますが、乳頭癌以外では進行や転移が早いものもあり、早期発見・早期治療が予後を良くするカギと言われています。

甲状腺癌を自覚しにくい理由は?

甲状腺癌を発症しても、甲状腺自体に痛みを生じることはほとんどありません(代謝異常が起こるバセドウ氏病や橋本病でも、甲状腺の異常が不調の原因ではないかと自覚できるのはかなりまれと言われています)。甲状腺癌の場合、初期段階では甲状腺の辺りに腫れやしこりを感じる程度のため、症状が進んで腫れが大きくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりして初めて異常に気付くケースが多いと言われています。また、良性の腫瘍であることが多いと言われるバセドウ氏病の治療の一環として、摘出した腫瘍を詳しく調べた結果、悪性の腫瘍だと判明することもあります。食べ物を飲み込む時の違和感から食道癌を疑って検査を受けたら甲状腺の異常だったということもあります。したがって、早期発見がやや難しい癌と言えます。

こんな症状があったら注意! 甲状腺癌のサインとは?

甲状腺癌の初期症状は、甲状腺があるのどぼとけの下方が腫れてきたり、触っても痛みの無いしこりを感じたり、食べ物を飲み込む時に違和感があったりむせたりすることがあります。また、声がかすれることもあります。このような症状がみられたら、鏡でのどぼとけのあたりをよく観察したり、手で甲状腺の辺りを触ってしこりがないかを確認してみましょう。なお、甲状腺癌が大きくなると、気管を圧迫するために呼吸しづらいと感じたり、血痰が出ることもあります。

気になる症状があれば、早めに病院で診てもらおう

甲状腺癌だけでなく、バセドウ氏病や橋本病も初期症状の段階で甲状腺の異常に気付きにくいため、いずれの甲状腺疾患もある程度症状が進んでから見つかる場合が多いです。甲状腺癌の中でも乳頭癌であれば、進行が遅く症状も穏やかなこともあり、発見が多少遅くなっても適切な治療を受ければ生存率に影響が出ることはないかもしれません。しかし、悪性度が高い未分化癌の場合は深刻な状態になりやすいですし、その他の甲状腺癌も発見や治療が遅れれば再発のリスクが高くなります。気になる症状がみられたら、早めに検査を受けましょう。

おわりに:「いつもと違う」と気づくことが、甲状腺癌の早期発見には重要

甲状腺の異常がみられる場合の代表的な症状(のどの腫れ、痛みのないしこり、飲み込むときの違和感など)があるときは、念のため病院で検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。気のせいにせず、病院で診てもらいましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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