においを感じる仕組みと嗅覚障害の原因を知ろう!

2018/2/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

嗅覚障害とは、においを感じられなくなる、少しのにおいにも耐えられないなど、嗅覚に異常が生じることをいいます。こちらの記事では、人間がにおいを感じる仕組みや、嗅覚障害の原因について解説します。

嗅覚障害とは?

嗅覚障害とは、主に以下のような症状が現れる疾患です。

・嗅覚低下
においがわかりづらくなっている状態

・嗅覚脱失
全くにおいを感じられない状態

・嗅覚過敏
少しの悪臭にも耐えられない状態

・嗅覚錯誤
よいにおいを悪臭と感じる状態

また、あるもののにおいを嗅いだときに本来とは異なるにおいを感じる場合や、何を嗅いでも同じにおいとして感じる場合を「刺激性異嗅症」、周りににおいを発するものがないのににおいがするように感じる場合を「自発性異嗅症」といいます。

嗅覚が正常に働かないことにより、ものを食べたり飲んだりしているときに味がわかりにくくなるだけでなく、腐った食べ物のにおいを嗅ぎ分けられない、ガス漏れや火災の煙のにおいに気付けないといった弊害が出るおそれがあります。

普段どうやって「におい」を感じているの?

鼻腔には、嗅上皮や嗅繊毛、嗅細胞、嗅神経といったにおいを感知するための組織があります。空気に含まれたにおいの成分が鼻の中に吸い込まれると嗅上皮の粘膜に溶け込み、嗅上皮にある嗅細胞が電気信号を生じます。この電気信号が嗅神経を通って嗅球や大脳辺縁系へ伝わることにより、においが認識されるのです。

また、嗅上皮にある嗅繊毛には「嗅覚受容体」があります。嗅覚受容体とは、におい分子に反応し、におい分子と結びついて何のにおいであるか識別するものです。人間は約400もの嗅覚受容体を持つといわれており、それぞれ異なる複数のにおい分子に反応します。においによって嗅覚受容体の組み合わせが変わり、人間はその組み合わせによって数十万種類以上あるにおいを嗅ぎ分けているのです。

嗅覚障害が起こる原因について

味覚障害の原因は大きく分けて2つあり、片方にのみ起因する場合もあれば、両方に起因する場合もあります。

・鼻に関する何らかの疾患
風邪や慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などにより、におい物質がにおいを識別する組織にまで届かないために嗅覚障害が起こります。

・においセンサーに障害が生じている
外傷や病気によってにおいセンサー(嗅上皮や嗅神経など)が機能していないため、何のにおいか識別することができなくなります。

また、嗅覚障害の病態は以下の3つに分けられます。

・呼吸性嗅覚障害
鼻腔形態異常や鼻の疾患によってにおい分子が嗅上皮まで届かないことが原因のもの

・末梢神経性嗅覚障害
嗅上皮の萎縮や炎症、頭を打ったことによる嗅神経の軸索(嗅糸)損傷によって起こる嗅覚障害

・中枢神経性嗅覚障害
頭部外傷や脳腫瘍、神経変性疾患、加齢などにより、中枢嗅覚伝導路に障害が起こることが原因のもの

治療開始が早いほど治りやすい。早めの受診が大切

嗅覚障害に対する治療としては、種類によっては横向きに寝た状態でステロイド点鼻薬を服用する、ビタミン剤や血流を改善する薬を服用することなどが有効とされています。原因となる慢性的副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療なども併せて行われ、鼻の変形で通りが悪くなっていることが嗅覚障害を引き起こしているのであれば手術も検討されるでしょう。

においを感知する部分に障害が起こっている場合は難治性とされますが、特に鼻に関する疾患が原因の場合は、治療によって改善が認められることが多く、早期に治療を開始できればそれだけ治りも早くなるといわれています。また、中枢神経性嗅覚障害においては、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の初期症状の可能性があります。そのため、嗅覚に異常を感じたら、できるだけ早く受診して、適切な治療を開始することが大切です。

おわりに:嗅覚障害には種類があり、それぞれ原因も異なる

ひと口に嗅覚障害といっても、原因によって呼吸性嗅覚障害・末梢神経性嗅覚障害・中枢神経性嗅覚障害の3つに分類されており、有効な治療法もそれぞれ違います。点鼻薬の使用や原因疾患の治療で改善することもあるため、放っておかずにすみやかに受診してください。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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