~脊髄空洞症の手術療法と合併症について~

2018/2/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脊髄空洞症とは、脳脊髄液が脊髄内に溜まってしまうことで起こる難病です。脊髄が圧迫されることで、しびれや脱力など様々な症状が現れます。この記事では脊髄空洞症の手術と合併症について解説しています。

脊髄空洞症はどんな病気?

脳脊髄腔(脳や脊髄をおさめる空間)の中は「脳脊髄液」と呼ばれる液体で満たされています。脊髄空洞症とは、脊髄の中に脳脊髄液が溜まることで空洞ができてしまい、脊髄を内側から圧迫して神経症状や全身症状を引き起こす病気です。

20歳代から30歳代の発症が多いといわれていますが、症例は全年齢層に見られます。発症の原因は幅広く、脊髄及びその周辺組織の炎症や腫瘍、脊髄の梗塞や血管障害、外傷など、また小脳の一部が脊柱管に落ち込む「キアリ奇形」が代表的です。この他に原因の特定ができないものもあります。

片腕の感覚障害や脱力から始まることが多く、痛みやしびれを伴うこともあります。痛覚や触覚に異常のある「温痛覚障害」を引き起こすこともあります。さらに症状が進行すると、しびれが悪化し、筋肉量の減少、手足の脱力、つっぱりがみられるようになります。

脊髄空洞症はどうやって治療するの?

脊髄空洞症には、主に「薬物療法」と「手術療法」の2種類があります。

薬物療法は、しびや痛みの緩和を目的に行われます。
手術療法には、「大後頭孔拡大術」と「空洞短絡術」の2つがあり、「大後頭孔拡大術」は、頭蓋骨から脊柱管への移行部分を拡大させ、脳脊髄液の流れを改善するものです。「キアリ奇形」により脳脊髄液の流れが妨げられ、空洞の形成に通じている場合に有効とされる手術です。基本的には、術後約1ヶ月で空洞が小さくなるといわれています。

「空洞短絡術」は、脊髄空洞内に直接チューブを挿入して溜まった水を他に流す方法です。この手術は、効果的かつ難易度の低いものといわれていますが、人工のチューブを使用するため、チューブの詰まりや抜け落ちの危険性も考慮しなければなりません。また「キアリ奇形」の改善には効果が見込めないと考えられています。

手術後に生じる可能性がある合併症について

手術では、脊髄を処置するため手足のしびれや動きの悪化が生じることもあります。手術の過程で脳脊髄液が漏れ出してしまうと、髄膜炎などの合併症につながるおそれがあります。また、使用する人工の膜やチューブの使用がアレルギー反応や感染症をもたらすことがあります。また、再発の恐れもあるため、術後も神経症状の診察やMRI検査などを受けることが再悪化を防ぐことにつながるといえるでしょう。

おわりに:手術後は定期的な検査で再発防止に努める

約2,000名~3,000名ほどの患者がいると言われている「脊髄空洞症」は、原因を特定できない場合もある治療が難しい病気です。手術の目的である空洞を小さくすることは、慎重な手術であれば、基本的に成功へつながるでしょう。しかし、手術後に起こりうる合併症が複数あるため注意が必要です。術後は、定期的な検査を受け、再発防止に努めるようにしましょう。

難病情報センター の情報をもとに編集して作成 】

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