慢性肝炎になったら、食事ではどんなことに気をつければ良い?

2018/1/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

慢性肝炎とは、肝炎ウイルスやアルコールの過剰摂取などが原因で起こる肝炎が長期化したものです。厳しい食事制限は必要ないとされていますが、食事に関していくつかの注意点があります。記事の中で詳しく紹介していきましょう。

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慢性肝炎とは?

慢性肝炎とは、ウイルスなどが原因で、幹細胞が少なくとも6カ月以上にわたって壊れ続ける病気です。肝硬変や肺不全へ進んでしまうリスクも伴います。

代表的な原因は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染です。C型肝炎ウイルスに感染すると、大半の人の症状が慢性化するといわれます。A型肝炎ウイルスもありますが、これは急性肝炎は引き起こしても、慢性化することはありません。

その他にも、お酒の飲み過ぎなどによるアルコール性肝炎が慢性化することもありますし、イソニアジド、ニトロフラントイン、メチルドパといった特定の薬物の影響で慢性肝炎が引き起こされる事態もありえます。

食事面での注意点について

慢性肝炎なった場合、基本的には通常どおりの食事で問題ありません。ただ、鉄分とカロリーの摂りすぎにご注意ください。

カロリーの摂りすぎは脂肪肝に繋がります。C型慢性肝炎の人が脂肪肝になると、肝癌に進む危険性が高くなるといわれています。また、C型肝炎と糖尿病の合併も発がんリスクが上昇するといわれているので注意が必要です。甘いお菓子などを控えて、間食もできるだけ避けるようにしましょう。

また、白米などのGI値(グリセミック指数)が高い食材は、体内への糖質の吸収率が高く、脂肪の蓄積に繋がりやすいとされているので、脂肪肝がリスクとなる慢性肝炎患者は特に気をつけてください。

GI値の高い食品を避けるためには、お米の場合は、白米よりも玄米はGI値が低く抑えられるので玄米を選ぶことをおすすめします。また、同じいも類でも、じゃがいもよりもさつまいもの方がGI値低いです。その他、野菜やキノコ、肉や魚は、GI値の低い食材とされているので積極的に取り入れるようにしましょう。
また、GI値が高いものでも食物繊維を多く含んだ食事を先に食べると、食後の血糖値が上がりにくくなるので、うまく組み合わせて毎日の食事を工夫するようにしてください。

避けたほうが良いことは何?

肝臓の健康のためにも、お酒は適度な範囲で抑えたいものです。厚生労働省の指針では、成人男性で1日に缶ビール500ミリリットル1本程度のアルコール摂取が望ましく、週2日の「休肝日」を設けることを推奨しています。

また上記で述べていますが、C型慢性肝炎などは肝臓に鉄分が沈着するとますます炎症が強まり、肝臓癌へ進行しやすくなるといわれているので鉄分の摂取もほどほどに抑え、ビタミンCは体内への鉄分の吸収を促進しますので、過剰に摂らないように注意してください。
その他、肝臓が弱っている場合は、貝類、海藻類、卵黄、肉や魚の赤身部分や内臓などの食材をできるだけ避けることが推奨されています。

バランス良く、規則正しく食べることがポイント

慢性肝炎の方は、まずは鉄分を控えて、主食(ご飯や麺類)・主菜(肉や魚などのたんぱく質)・副菜(野菜やキノコ類)と、バランスのよい食事を心がけてください。
主菜は、白身魚や鶏肉、いか、たこ、えびなどを中心に、食べすぎは控えるようにしましょう。

おわりに:バランスの良い食事を心がけ、アルコール・糖分・カロリー・鉄分の量には気をつけよう

慢性肝炎は治療が長期化しがちな症状ですが、だからといって、極端に生活態度を変えなければならないわけではありません。激しい運動や長時間の入浴を避け、お酒の飲みすぎや糖質やカロリーの過剰摂取、鉄分の摂取量に注意しながら食事の内容に気をつけていきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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