記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/12/26
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
VDT症候群とは、PCモニターなどの画面を長時間見ることで起こる目のトラブルです。かつては職業病とも呼ばれていましたが、最近は子供の発症が増えているといわれています。この記事では、VDT症候群から子供を守るために注意することを紹介していきます。また、昨今注目を浴びているブルーライトについても解説しています。
VDT症候群のVDTとは、映像表示端末(Visual Display Terminal)の略で、PCなどのモニターを長時間見つめ続ける作業を行う人がかかりやすい症状です。
目の疲れ(眼精疲労)や目の乾燥(ドライアイ)、視力低下が主な症状ですが、手や指のしびれ、肩こり、背中の痛み、額の圧迫感など、他の部位にも不具合が広がることもあります。それだけでなく、倦怠感や抑うつなど、精神状態にも影響をおよぼすケースも報告されています。
パソコンで仕事をする人全てがVDT症候群にかかるわけではありません。こまめに休憩を取ったり、ほどほどの集中力で作業をすれば発症リスクを減らせるといわれています。VDT症候群のリスクがあるとされるのは、モニターを見つめ続け、同じ視点や姿勢を続けて作業に集中してしまう人です。
子供たちは、パソコンやスマートフォン、ゲーム機などを使うときは、つい同じ姿勢を続けて没頭してしまうでしょう。このような状態が続くと、まばたきの回数が減りますので、ドライアイになるリスクが高まり、眼の疲労も蓄積します。
現代の子供たちにとってデジタルツールは生まれた頃から当たり前に存在するものです。学校の授業でも使われているため、もはや日用品ともいえるでしょう。
さらに、子供たちの目は柔軟性が高く、疲れや乾燥などを自覚しにくいため、知らず知らずのうちに眼精疲労やドライアイの症状が進行している危険性もあるのです。
モニターの画面が様々な色を表示できるのは、光の三原色である「赤・緑・青」の組み合わせの微細な光源を無数に使って、それぞれ明るさを変化させているからです。
このうち、人工的な青い光(ブルーライト)には、わずかなちらつきがあり、中長期的に目に悪影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。VDT症候群の一因になるともいわれていて、睡眠直前にデジタルツールを使うと、ブルーライトの影響で寝付きが悪くなったり、睡眠が浅くなったりする可能性があると考えられています。また子供たちの水晶体は、大人のものよりもブルーライトの影響を受けやすいものといわれています。
パソコンのモニターの角度や、椅子の高さを調整したり、モニターの上に、ブルーライトのギラつきを緩和するフィルターを取り付けたりすることをおすすめします。ただし、子供の成長にあわせて微調整する必要があるので、定期的にチェックするようにしてください。
また、PCやタブレット、スマートフォン、ゲームなどは長時間連続してさせないように、見守ってあげることも大切です。近くでテレビを見ないようにしたり、遠くを眺めることを習慣づけることも忘れないようにしてください。
かつては職業病と考えられていたVDT症候群は、デジタルツールの普及に伴い子供にもみられるような一般的な病気になってきました。子供たちの目は、まだ成長の途中ですので、できるだけ悪影響を取り除いておきたいものです。長時間、眼を酷使させないように注意して見守ってあげるようにしましょう。