肋骨骨折の危険性と完治までの必要期間について

2018/1/24 記事改定日: 2019/9/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

肋骨は、左右それぞれに12対ある骨で、心臓や肺などを守る役目を担っています。この記事では、肋骨骨折が起こる原因と症状とともに、治療期間について解説します。

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肋骨骨折の原因は?

左右それぞれに12本ずつある肋骨が折れることを肋骨骨折と呼びます。最も多いのは、外から圧力がかかったために骨折してしまう、外傷性の肋骨骨折です。広範囲にわたって圧力がかかってしまうと、一度に数本折れてしまうこともあります。

また、スポーツの練習などで同じ動作を繰り返すうちに疲労が蓄積したために折れてしまうこともあります。こちらは疲労性の肋骨骨折と言われています。肋骨に負担をかける動作として、野球の投球動作やバッティング、ゴルフスイングがあります。

肋骨骨折を発症すると、骨折した辺りに疼痛や圧痛などが生じて皮下出血したり、骨折部分を軽く押さえたときに骨がきしむ音が聞こえることもあります。また、呼吸のたびに疼痛が強まるため、骨折した側に体を曲げて患部の胸郭があまり動かないような姿勢をとることもあります。

肋骨骨折の放置が危険な理由は?

肋骨骨折そのものは、ギプスなどで固定しなくても治ることが多いと言われていますが、放置すると以下のような合併症を引き起こす恐れがあると言われています。

フレイルチェスト(動揺胸郭)
呼吸困難の原因となる合併症です。数本の肋骨が複数箇所で折れてしまう重症の骨折で、骨折によって形を維持できなくなった胸郭がばらばらに動いてしまうために起こります。この合併症になると、救急外来で気管挿管などが必要になります。
気胸・血胸
肋骨の内側にある肺に穴があき、気胸(空気が漏れる)や血胸(肺から出血し、血が溜まってしまう)を併発することが挙げられます。肋骨骨折では比較的多くみられる症状で、場合によっては入院してドレナージと呼ばれる空気や血を抜く治療が必要になります。
肺炎
肋骨骨折による傷みが原因で呼吸が常に浅くなり、風邪をひいたときに発症しやすくなると言われています。痰が溜まっても痛みがあるので出すことができず、その結果肺炎に至る場合もあります。骨折後に咳や痰などが出て息苦しさを感じる場合は、肺炎になっていないかを調べてもらったほうがよいと言えます。

肋骨骨折の完治にかかる期間は?

骨折の程度によって、肋骨骨折の完治にどのくらいかかるかは異なります。また、加齢と共に少しずつ骨の生成能力が減少していくため、高齢の人ほど治療が長びく傾向があります

小さなひびが入った程度であれば、2、3週間ほど安静にすれば回復しますが、完治までには2カ月ぐらいかかると言われています。スポーツ選手の場合、1カ月程度の治療期間を経たのち、低下した筋力や柔軟性を取り戻すためにリハビリを行い、トレーニングで少しずつ負荷をかけてから競技へ復帰することが一般的です。ハードな実践練習ができるようになるには2カ月程度かかると言われています。完治するまではサポーターなどで胸部を固定すると、患部を固定したり、痛みを緩和したりすることができます。

おわりに:肋骨骨折が肺機能に影響を与えることも

  • 肋骨骨折はギプスなどで固定しなくても治ると言われていた
  • しかし、場合によっては気胸や血胸、肺炎といった病気を併発することもある
  • 胸に強い力が加わったあと、痛みや骨がきしむ音がみられたら、念のため病院で診てもらうことが大切

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