胃痙攣の治療では、どんな薬が使われるの?療養中の注意点とは?

2018/1/19 記事改定日: 2018/11/26
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胃痙攣になると、みぞおちのあたりが突然痛み出します。急な痛みが出たとき、どのように対処すればよいのでしょうか。この記事では、胃痙攣を和らげる処方薬や漢方薬、症状緩和のためのセルフケアや、療養中の食事の注意点をご紹介します。

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胃痙攣の原因と症状の特徴とは?

胃痙攣は、みぞおちの辺りを中心に何の前触れもなく突然痛みを感じ、場合によっては吐き気や嘔吐、下痢や食欲不振なども引き起こす症状です。

医学的な病名ではありませんが、胃が痙攣を起こしたような状態に陥ることから胃痙攣と呼ばれています。

胃痙攣の原因として、極度の精神的なストレスや、便秘などで体内に長く溜まっている便が胃に負担をかけることなどが挙げられます。ただ、深刻な病気のサインとも考えられるため、早めに病院で診察を受けたほうがよい病気です。

胃痙攣の症状は、どうやったら楽になる?

胃痙攣は強いストレスによって引き起こされるといわれていますが、日ごろの不摂生な食生活も要因のひとつとされています。このため、脂っこいものや塩分の強い食品、アルコールは適量にとどめることが大切です。

痛みが出たら、楽な姿勢で椅子に座ったり、横になるなどして、痛みが治まるのを待ちましょう。腹巻や湯たんぽなどで、腹部を温めるのもおすすめです。胃が空っぽになると痛みが出やすいため、消化の良さそうな軽めの食べ物や飲み物を適度に摂取するようにしましょう。ただ、食欲が無い場合は無理に食べようとせず、食欲が出た時に少しずつ摂るようにしてください。

ひどく痛むときは市販の鎮痛鎮痙薬なども有効とされますが、応急処置のようなものなので、常用しないようにしてください。
頻繁に胃痙攣が起きたり、痛みが長引くときは早めに病院へ行き、血液検査やエックス線、内視鏡といった検査を受けて、痛みの原因を明らかにしましょう。胃がんや胃潰瘍といった病気が原因の痛みだった場合、早めに治療を開始する必要があるためです。

病院へ行った方がいい胃痙攣の症状は?

胃痙攣は一時的な症状であり、安静にしていれば改善することもありますが、以下のような場合は何らかの重篤な病気が原因のこともありますので放置せず、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

  • 食後などを中心に痛みが生じ、しみるような激痛を伴う場合
  • めまいやふらつき、動悸などの貧血症状を伴う場合
  • 黒色便(便が黒く粘り気が出る)がある場合
  • 食欲が低下し、数か月の間に体重が大幅に減少した場合
  • 胃がん検診などで、胃の病気の可能性を指摘されたことがある場合

胃痙攣の治療で使われる処方薬と漢方薬

胃痙攣の治療で処方される薬として、ブスコパン®︎があります。ブスコパン®︎の成分はブチルスコポラミン臭化物で、抗コリン剤に分類されています。内臓の筋肉を動かすアセチルコリンの働きを弱めて痙攣を抑え、腹痛を和らげます。ブスコパン®︎は胆のう・胆管炎、膀胱炎や月経困難症などにも処方され、個人差はあるものの、服用から約30分ほどで効き始め、4時間ほどその効果が持続すると言われています。なお、ブスコパン®︎は市販薬にもあり、処方薬と同程度の効果が得られると言われますが、応急処置で使うにとどめることが肝心です。

漢方薬

胃痙攣に良いとされる漢方薬として、芍薬甘草湯もあります。芍薬甘草湯は、急激な筋肉の痙攣を抑える効能があるとされ、胃痙攣のほか胆石症や腎臓、膀胱結石の痙攣痛、足のつりやこむら返りにも処方されます。ただ、むくみや脱力感、血圧上昇などの症状が出ることもあるため、体質に合った薬を処方してもらうことが大切です。

胃痙攣が起こっているときの食事や水分補給はどうすればいい?

胃痙攣は、胃が過度に蠕動運動を引き起こすことによる痛みです。食べ物や飲み物が胃の中に入ると消化のため胃の蠕動運動は活発になります。このため、胃痙攣の痛みが生じている最中は何も食べたり飲んだりしない方がよいでしょう。

また、胃痙攣の発作のような痛みが落ち着いている場合は、消化が良いお粥や野菜スープなどを摂り、水分は胃に負担が少ないミネラルウォーターや麦茶などを常温で飲むようにしましょう。

おわりに:痛みが長引くときは安易に自己判断せず、病院で診てもらおう

胃痙攣の痛みを和らげる市販薬や漢方薬をご紹介しました。このような薬は急な痛みを乗り切りたいときに頼りになりますが、この痛みが深刻な病気のサインになっていることもあります。痛みが長引くときは病院で診てもらい、適切な治療を受けましょう。

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