記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生まれつきの代謝異常が原因で、糖原(グリコーゲン)が体に蓄積してしまう病気が糖原病であり、肝臓に糖原が溜まってしまうものを肝型糖原病といいます。この記事では、肝型糖原病の食事療法について解説していきます。
糖原病(とうげんびょう)とは、先天性の代謝異常によって糖原(グリコーゲン)が過剰に体内に蓄積してしまう病気です。糖原を分解して適切に代謝するために必要な酵素を作る遺伝子に異常が出ることで発症する病気であり、遺伝性のもので、男女の差なく発症すると考えられています。
肝型糖原病(かんがたとうげんびょう)は、過剰な量の糖原が肝臓に蓄積していく病気です。肝臓が腫れたり、代謝異常が原因の低血糖を引き起こします。
そして成年期には、肝硬変や肝腫瘍など、肝臓に深刻なダメージを与えるほど進行するおそれがあります。
肝型糖原病は、病型によっても変わってきますが、年齢を重ねるごとに合併症が悪化していく傾向があります。
まず症状として出てくるのは、乳幼児期の低血糖です。
この段階での治療が十分でなかった場合、肝型糖原病が原因で発達遅滞やてんかんなどを発症してしまう可能性があります。
症状が出たときに治療しても継続的に治療しなければ症状が進んでいく特徴があるため、治療を怠ってしまうと代謝異常を原因とした肝臓の腫れや肝腫瘍、肝硬変、腎不全、鼻などからの出血、骨粗しょう症などの合併症に発展してしまうおそれがあるのです。
合併症を起こした場合は、合併症の治療をあわせて行う必要があります。
肝型糖原病は、残念ながら投薬や手術による根本的な治療法が確立されていません。
現在では、食事療法と定期的な通院を行うのが、最も有効な治療法とされています。
肝型糖原病は、糖原の代謝異常によって糖をうまく代謝させることができず、低血糖になってしまう病気です。そこで、血糖値を維持し、低血糖を予防するための食事に切り替えていくことがポイントになってきます。
乳頭・ショ糖・果糖の摂取を制限し、糖の吸収がゆっくりなβデンプンを多く含むコーンスターチや、糖原病に有用なミルクを積極的に摂取するなどします。
これらの食事内容を1日に何度も分けて行い、常に血糖値を一定のレベルに保つことで、低血糖の防止を目指します。
また低血糖を予防するために、昼間だけでなく夜間にも頻回、または持続的に食事による糖の補給を行わなければいけません。
そして上記でも触れましたが、肝型糖原病患者は治療を定期的、継続的に続けていく必要があります。これは食事療法も同様です。
慣れて体調が良くなってくると食事の管理がルーズになりがちですが、将来的な症状の悪化や合併症のリスクを防ぐためにもきちんと続けていきましょう。
肝型糖原病の主な治療法は、食事療法です。日々の食事に制限が出るのは煩わしいと思うこともあるかもしれませんが、正しい治療を行わずに肝型糖原病を放っておけば、加齢とともに確実に進行します。医師の管理のもと、継続的な食事療法を続けていきましょう。