クッシング病とクッシング症候群の違いとは!?

2018/2/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

クッシング病は、コルチゾールというステロイドホルモンが過剰に増えてしまうことで様々な症状が起こる病気です。この記事では、クッシング病の原因、症状、治療など、クッシング病の基礎知識を紹介しています。また、クッシング症候群とクッシング病の違いについても解説しています。

クッシング病とは

副腎刺激ホルモン(ACTH)は、大脳の底部にある下垂体から分泌されるホルモンのひとつです。ACTHは腎臓の上にある副腎に働きかけ、ステロイドホルモンの一種「糖質コルチコイド」の分泌を促します。
クッシング病とは、脳の下垂体にできた腫瘍からACTH が過剰に分泌され、その結果、糖質コルチコイドが過剰に分泌されることによりおこる病気です。全国での発生頻度は年に100例程度と言われています。

この病気にかかると、特徴的な外見所見が現れます。たとえば、満月様顔貌(頬がふくらんだようになる)、にきび、体の中心部(頬、首、鎖骨の上、お腹など)の肥満、薄く傷つきやすい皮膚、あざが出来やすくなる、むくみなどが挙げられます。また、うつなどの精神症状、高血圧、糖尿病に加え、腎結石による痛みや血尿、骨粗鬆症による骨折なども合併症として現れることがあります。未治療のまま放置すると、免疫力低下のため重症感染症(敗血症)となり、重篤な結果を招くこともあるのです。

クッシング病の原因

クッシング病は、下垂体にできた腺腫がACTHを過剰に分泌してしまうことが原因と考えられています。ACTHを産生するような下垂体腺腫がなぜできるかについては、現在研究段階であり不明です。まれに家族性の例が報告されていますが、基本的には遺伝性はないと考えられています。

クッシング症候群とは?クッシング病と何が違うの?

クッシング症候群とは、糖質コルチコイドと呼ばれるホルモンが慢性的に増加することで、肥満や高血圧、筋力低下、骨粗鬆症など全身に様々な症状を引き起こす病気のことです。

その中でも、下垂体にできた腫瘍が原因で糖質コルチコイドが増加するものを「クッシング病」と言いますが、クッシング症候群はこの他にも、鉱質コルチコイドが分泌される副腎の腫瘍や過形成、鉱質コルチコイドの産生を促すACTHを分泌する性質を持つ肺がんや胸腺腫、甲状腺髄様などが原因となります。
つまり、クッシング病はクッシング症候群の一種であるとも言えるのです。

クッシング症候群とクッシング病の診断・検査

血液検査によってACTHとコルチゾールの高値が確認されると、クッシング病が疑われます。この場合、続いて抑制試験を行います。これは、合成ステロイドホルモンのデキサメタゾンを投与した後で採血して、体から産生されるACTHやコルチゾールの値が下がっているかどうかを見る検査です。この検査で血中のACTHやコルチゾールの値が高いと診断された場合、クッシング症候群と診断されます。

次に、ホルモン異常の原因が何かを突き止めます。頭部のMRIで下垂体に腫瘍が見つかればほとんどの場合はクッシング病といえることになります。

一方、MRIで下垂体に腫瘍が見つからない場合は、異所性ACTH産生腫瘍が体のどこかにある場合と、下垂体に腫瘍があるのに小さすぎてMRIではわからないという場合が考えられます。このためにCTなどで胸や腹に腫瘍がないかどうかを調べる必要があります。全身のどこにも腫瘍がみあたらなければ、選択的静脈カテーテル検査が必要となります。これは、大腿の付け根から静脈にカテーテルを入れ、そのカテーテルを頭の中の海綿静脈洞までいれて海綿静脈洞の血液を採取する検査です。ここまですればだいたいクッシング病は診断できますが、これでも下垂体に腫瘍があるかどうか確診できないこともあります。この場合には手術して下垂体の中の腫瘍を探す方法が検討されます。

おわりに:免疫力の低下で様々な合併症が!早期発見が治癒の鍵

ステロイドホルモンのコルチゾールが過剰に分泌される状態をクッシング症候群、これが下垂体腫瘍による副腎刺激ホルモンの過剰分泌に起因するものをクッシング病と呼びます。未治療のまま放置すると、免疫力の低下から重篤な結果を招きかねないため、早期の検査で原因を追究し、早めに適切な治療を始める必要があります。

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