内耳炎の手術「鼓室形成術」ってどんな治療方法なの?

2018/1/15 記事改定日: 2019/2/5
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

慢性化して長引いてしまった内耳炎は、鼓室形成術という手術が必要になることがあります。
この記事では鼓室形成術について解説していきます。難聴や耳鳴り、めまいなどで長期間悩んでいる人は慢性の内耳炎の可能性があります。治療方法の選択のための参考にしてください。

内耳炎の治療について

内耳炎は、慢性中耳炎の症状が内耳に拡がっていくことで発症することが多く、耳鳴りや難聴、めまいや吐き気、嘔吐などの症状が現れる病気です。
真珠腫性中耳炎が内耳に及んでいる場合は顔面まひを起こすこともあります。

治療では原因になっている細菌感染に対して抗生物質の投与を行い、内耳の神経障害に対してビタミン剤やステロイドを使用し改善を目指します。

ただし真珠腫性中耳炎をふくめた慢性中耳炎については、鼓室形成術をおこない病巣を除去する必要があり、内耳瘻孔があるときには、破壊された骨を修復して瘻孔を閉じる必要があります。

鼓室形成術とは、どんな手術?

鼓膜の奥(内耳)に慢性的な感染病巣があり、耳小骨などが破壊されている場合などに用いるのが鼓室形成術です。
鼓室形成術は、汚染された病巣を清掃し二次障害を防止し、聴こえの伝達路を再建して聴こえ具合を改善することを目的として行われます。

手術は局所麻酔下で行われることが多いですが全身麻酔下で行われることもあり、精神安定剤を点滴して「ぼーっとした状態」になってもらい、痛みや恐怖感を和らげる対処が行われます。

手術内容

鼓室形成術は、中耳内に波及した炎症の態度によって術式が異なります。

いずれも耳の後ろを4~7㎝程切開して、中耳内に到達して手術を行います。
最も簡便な術法は、中耳内の炎症が波及している部位を取り除いて鼓膜を形成するものですが、耳小骨の働きが保たれている場合に行われます。

一方、耳小骨にまで炎症が波及して正常な働きをしていない場合には、別部位から採取した軟骨や人工骨を使用して耳小骨を再生する手術が行われます。
手術の方法はそれぞれの症状によって異なりますので、事前に医師とよく相談して決めるようにしましょう。

鼓室形成術に後遺症などのリスクはある?

鼓室形成術の目的は、中耳の炎症を抑えて耳垂れなどの症状を改善し、真珠腫の切除・鼓膜や耳小骨の再生によって聴力を回復することです。

いずれも高い治療効果を期待することができますが、術後には耳鳴りやめまいなどの後遺症が現れたり、術中に中耳の知覚を走行する顔面神経などの重要な神経にダメージを与えて顔面神経麻痺や味覚障害などを遺す可能性もあります。

また、手術の傷に細菌感染が生じると発熱などの全身症状を生じ、炎症が脳や髄膜にまで波及することで髄膜炎などを引き起こして重篤な状態になることがあります。

おわりに:慢性中耳炎や長引く内耳炎は鼓室形成術で回復する可能性がある

内耳炎は抗生物質の投与で治療が行われていきますが、長期化した場合には鼓室形成術での治療が必要になることがあります。
破壊されてしまった組織を再建することで症状の改善が目指せる手術になるので、慢性化して重い症状を抱えている人は医師と相談しながら検討してみることをおすすめします。

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