むずむず脚症候群の治療薬の種類とは!?妊娠中に使ってもいい?

2018/1/15 記事改定日: 2018/6/25
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

むずむず脚症候群とは、主に就寝時に症状が起こりやすく、脚がむずむずしたり重だるいと感じるようになるため、不眠につながることも少なくありません。この記事では、むずむず脚症候群の治療で使われる薬について、漢方薬もあわせて紹介しています。

むずむず脚症候群とは?

「下肢静止不能症候群」とも言い、「脚がむずむずする」という知覚異常が起こる病気です。その他、「熱い」「ざわざわする」「全体的に重だるい」など人によってさまざまな表現になります。特に就寝時に起きやすく、じっとできずに動きたくなる衝動に駆られます。症状を緩和するため、マッサージや歩行を就寝時に行わねばならず、睡眠の妨げとなります。

何が原因なの?

不眠が原因で脚に異常があると考え、不眠のみを医師に訴える方もいます。時間帯は、夕方から夜間に起きやすいです。症状は脚のどの部分にも起こる可能性があり、まれに腕や胴体に起こることもあります。悪化すれば、1か月に数度、昼間から症状が出るなど、個人差があります。
患者は全年齢でありますが、高齢者や女性でかかる方が多いとされ、患者の3分の1に家族性が認められるといわれています。

むずむず脚症候群の治療ではどんな薬が使われる?

治療法は、大きく3つに分かれます。

  1. むずむず脚症候群を引き起こす疾患の治療
  2. 睡眠など生活習慣の改善
  3. 薬物治療

薬の種類と使い方

むずむず脚症候群は、パーキンソン病などの神経疾患や関節リウマチなどの病気が原因として引き起こされることがありますが、特に原因となる病気がないにも関わらず発症することがあります。このようなむずむず脚症候群を一次性むずむず脚症候群と呼び、脳内のドーパミンが減少したり、正常に作用しないことで発症すると考えられています。
このため、一次性むずむず脚症候群では次のような薬が使用されます。

① ドーパミン作動薬
脳内のドーパミン受容体に作用する薬で、パーキンソン病の治療薬としても使用されるものです。ドーパミンの構造に類似した薬剤であり、脳内に不足したドーパミンの役割を果たします。中等度から高度のむずむず脚症候群に呈して適応が認められています。
② ガバピンチン エナカルビル
むずむず脚症候群に特化した薬であり、従来使用されていたドーパミン作動薬とは異なり、ドーパミンの作用を介さずに神経の興奮を抑制する薬です。脳内で抑制作用を及ぼすGABA系に作用することで脚の過敏になった神経を鎮める効果が期待できます。
③ 鉄剤
脳内でドーパミンが正常に作用するためには、鉄分が必要であり、貧血の人はむずむず脚症候群を発症しやすいことがわかっています。このため、鉄分が不足するタイプの貧血の人には鉄剤が処方されることがあります。

副作用

むずむず脚症候群で使用される薬物の副作用にはそれぞれ次のようなものがあります。

① ドーパミン作動薬
日常生活上問題となる副作用としては、突発性の睡眠傾向や幻想・妄想などの神経症状などが挙げられ、その他にも肝機能障害や薬疹、しびれやめまいなどが生じることもあります。また、ドーパミン作動薬は自己判断で急激に減薬したり断薬することで高熱や意識障害、筋硬直などを特徴とする「悪性症候群」を発症することがあるため、投薬コントロールが非常に重要となります。
② ガバピンチン エナカルビル
従来のドーパミン作動薬と異なり、自己判断での断薬などによって悪性症候群を発症する危険はなく、日常生活に重大な影響を及ぼす副作用は報告されていませんが、眠気やめまい、倦怠感、体重増加、目のぼやけなどの副作用を生じることがあります。
③ 鉄剤
一般的には、胸焼けや吐き気、食欲不振、便秘などの症状が生じることがありますが、重大な副作用はなく、胃薬や下剤などを併用することで副作用による症状を改善することができます。

妊娠中は飲んでもいいの?

妊娠中は、鉄分不足になりやすく、お腹が大きくなることで足まで分岐する脊髄が圧迫されるため、むずむず脚症候群を発症しやすいといわれています。
鉄分不足が原因の場合には、鉄剤が使用されます。鉄剤は妊婦に対しても問題なく使用することができますが、むずむず脚症候群に対して一般的に広く使用されるドーパミン作動薬は使用することはできず、ガバピンチン エナカルビルは症状が重度な場合で、むずむず脚症候群によって睡眠障害などを生じている場合にのみ使用されます。

漢方薬でむずむず脚症候群が緩和する・・・?

漢方医学の観点では、この疾患は風(ふう)によるものと考えられています。風とは、知覚異常だけでなく、しびれ、けいれん、かゆみなど、変化のある複数の症状を引き起こすと言われています。
また、陰虚内風が大きく関わっています。陰虚とは、血や津液が不足しており、陽が優勢になり虚熱が発生、内風が起こって知覚異常が起こったものです。また、むずむず脚症候群と併発しやすいイライラ感や不眠症、身体のほてりなどは、虚熱によるものと考えられます。

漢方薬を用いる場合は、陰虚内風を治療するため「陰(血や津液)」をサポートする必要があります。代表的に挙げられる生薬は、熟地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などです。症状に合わせた生薬が用いられます。
イライラ感や不眠症が併発している場合には、鎮静作用のある酸棗仁や竜眼肉、ほてりや熱感が強い場合には津液を補う効果のある麦門冬や天門冬、生地黄などが使われています。この他に、風を直接的に抑える防風、荊芥、薄荷も使われます。

ただし、むずむず脚症候群の治療では現代医学の治療とのバランスが重要です。治療は必ず医師の指示に従いましょう。

おわりに:医師と相談しながら自分に合った適切な治療法を選ぼう

睡眠時、脚に何らかの異常を感じた場合は、むずむず脚症候群の可能性もあります。慢性的に睡眠不足が続けば、副次的に別の疾患に至るかもしれません。薬物療法や漢方薬による治療のアプローチをあわせて医師に相談し、自分に合った治療方法を選択できるようにしましょう。

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