記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/1/22
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
レーシック治療とは、角膜の形状をレーザーで調整して視力を矯正する治療法です。レーシックの手術を受けると白内障の手術が受けられなくなるというウワサを聞いたことがあるかもしれませんが、このウワサは本当でしょうか。下記の記事で詳しく紹介していきます。
レーシック治療とは、角膜屈折矯正手術の一種です。
眼の角膜に専用のレーザーを照射して、角膜のカーブの形状を調整して、網膜上で焦点のあうように矯正する手術です。手術の流れは、まず目の洗浄と目薬での麻酔を行います。角膜に均一な形のフラップ(ふた)を作成して、めくった後は直接レーザーを照射します。このレーザーで角膜のカーブを変形させ視力を矯正します。
照射後はフラップを閉じ、フラップが角膜と自然に引っ付くまで待ちます。この治療で、視力低下、近視、乱視など、眼の悩みを改善することができます。年間約40万人以上の方が受け、9割以上の方が1.0以上の視力への改善を実感しているといわれています。
レーシックの手術後のデメリットの一つとして挙げられるのが、白内障の手術を受けるのにリスクが生じることです。ただし、これは過去の話です。従来は、レーシック治療後に白内障手術を技術的に受けることはできても、術後視野に不調を生じる場合が多くありました。しかし、現在では臨床現場での症例の蓄積により、問題なく手術を行えるようになっています。自分が手術を受ける際には、なるべく手術経験の豊富な施設で検査や診察を行いましょう。
レーシック治療では、前述の通り角膜にレーザーを照射して、「角膜の屈折力」を調整することで視力を改善します。
一方の白内障手術では、眼の中で水晶体の濁りを取り除き、水晶体の代わりとなる人工レンズ「眼内レンズ」を挿入します。眼内レンズはすべての方が共通のものではなく、眼の状態に合わせて計算を行い、あらかじめ準備します。この計算には、「角膜の屈折力」データが必要となります。しかし、レーシック治療を受けた方は角膜の形状が特殊になっており、一般的なデータや計算を用いると手術後の屈折度数がずれてしまいます。
通常であれば、レーシック治療で近視を治療した白内障手術では、術後予測よりも遠視になることが多いとされています。これは、角膜の屈折力の計算誤差が原因といわれています。従来の測定器では、その誤差を考慮した計算が困難でしたが、現在では測定機器の発達により度数計算や術後の結果を出すことが可能になっています。
レーシック治療を受けることで、将来白内障になったときの不安を感じていた方もいるかもしれません。現在は、症例の蓄積や測定機器の発達により、レーシック治療後であってもより正確な白内障手術を受けられるようになっています。ただリスクがゼロではないので、手術経験の豊富な眼科医に相談し、できるだけリスクを下げるようにしましょう。