精巣上体炎による無精子症は、どうすれば治せるの?

2018/1/17 記事改定日: 2020/3/6
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

精巣上体炎とは、副睾丸炎ともいわれる男性特有の病気です。適切な治療で比較的容易に治るといわれていますが、放置して治療が遅れると男性不妊を引き起こす可能性があります。精巣上体炎と無精子症の関係性について解説していきます。

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精巣上体炎(副睾丸炎)とは?

精巣上体は、別名で「副睾丸」といい、睾丸に付属し、精子を蓄えて成熟させるための器官です。精巣上体炎は、尿道から侵入してきた大腸菌やブドウ球菌などによる細菌感染などで、精巣上体(副睾丸)に炎症を起こす病気です。

細菌感染は、前立腺肥大症や膀胱結石などがきっかけになることが多いですが、クラミジアや淋菌への感染がきっかけに起こることもあります。

精巣上体炎は、急性と慢性の2種類があります。

急性精巣上体炎

急性精巣上体炎は、突発的に短期間で起きる精巣上体炎で、初期症状では、精巣の付近に腫れや痛み、しこりを感じるようになります。また、38度以上の高熱を出し、寒気をおぼえることもあります。

急性精巣上体炎がさらに重症化すると、睾丸を包む陰嚢が赤く腫れ上がってきたり、鼠径部や下腹部にも痛みが広がってきます。炎症が精巣(睾丸)にまで広がれば、片手の握り拳ぐらいまでの大きさに腫れ上がり、歩くのもままならなくなったり、陰嚢に膿が溜まったりもします。

急性精巣上体炎は、抗生物質を適切に投与する早期治療によって、病気の中でも比較的治りやすい部類ではありますが、症状を我慢して放置していると、慢性化し、治療が困難になります。

また、炎症が片側の精巣上体のみにとどまっていれば、生殖機能に問題はありませんが、両方の精巣上体に炎症が出た場合は、男性不妊症を引き起こす原因になりかねません。

慢性精巣上体炎

慢性精巣上体炎は、急性精巣上体炎が治りきらず炎症が長引いたり、結核菌など慢性的な炎症を引き起こす細菌が精巣上体に感染したりすることによって引き起こされる病気です。
急性精巣上体炎のように発熱や睾丸の腫れ、痛みなどが生じませんが、睾丸に弱い痛みが走ったり、違和感があるなど軽い症状が現れます。

基本的な治療は抗生物質の投与ですが、治りにくいケースも多く、治るまでに時間がかかるケースも少なくありません。
また、慢性精巣上体炎は放置すると精子の通り道に癒着を引き起こしやすいため、無精子症など男性不妊の原因になるとされています。

精巣上体炎で無精子症になったら、どうやって治せばいいの?

無精子症とは、男性が精子を体外へ出せない症状をいいます。射精した精液の中を顕微鏡で覗いても、精子が見つからない場合に診断されます。

精巣上体炎が無精子症を引き起こす可能性はありますが、必ず無精子症になるわけではありません。炎症がかなり進行し両方の精巣にダメージが蓄積された場合のみ無精子症に至る危険性が出てきます

また、無精子症には2種類があり、そもそも精子が精巣内でつくられていない「非閉塞性無精子症」と、精巣で精子が作られているけれども、精管がふさがっていて体外へ出られなくなっている「閉塞性無精子症」とがあります。

閉塞性無精子症ならば、精子が出られなくなっている物理的障害を取り除けば治療できます。通常は、精巣上体炎を治療して腫れをしずめれば、精管の閉塞が無くなって精子が外へ出られるようになります。

腫れが引かなかったり、腫れが引いても精管が癒着して塞がったままの場合は、手術で精子の通り道を人工的に作る「精路再建術」を行うことで無精子症の改善が期待できます。

精路再建術

精巣上体炎は精子の通り道である精路にまで炎症が波及して、閉塞を引き起こすことがあります。このため、精巣上体炎が原因の不妊症では、精路生検術が行われることがあります。

精路再建術とは、閉塞した精路を切除して、正常な部位とつなぎ合わせる手術です。顕微鏡下で行われ、身体への侵襲は大きくありません。しかし、女性側に不妊の原因がない場合には、手術を行って精子の通りを改善することで自然妊娠できる可能性が大きく上昇します。

おわりに:精巣上体炎で無精子症になっても、妊娠できる場合がある

精巣上体炎は、軽度の段階では症状が出ませんが、進行すると精巣が腫れ上がったり、陰嚢に膿が溜まって外へ浸みだしてきたりもします。男性にとって大切な部分ですので、ただの腫れでは済まされません。精巣上体炎は無精子症を引き起こし、男性不妊症を引き起こしかねないのです。
ただ、無精子症になったすべての人が妊娠できないわけではありません。早期発見・早期治療で回復できることがあります。少しでも不安な症状があるときは、できるだけ早く専門医に相談しましょう。

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