咬合性外傷と合併して起こる「アブフラクション」とは?

2018/2/2

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

歯ぎしりや食いしばりが原因で起こる歯のトラブルに咬合性外傷が挙げられますが、その他にもアブフラクションというものがあります。歯頸部(歯と歯茎の境のこと)のエナメル質や象牙質が破損して弾けとんだ状態のことになりますが、アブフラクションはどのように治療をするのでしょうか。下記の記事で詳しく解説します。

咬合性外傷について

咬合性外傷とは、歯並びの悪さや顎の骨のズレ、精神的なストレス、個人的な癖などが原因で、歯の食いしばりや歯ぎしりが長期間にわたって継続することで、歯や歯茎にダメージが生じることをいいます。

歯のぐらつきや痛み、摩耗や欠損、知覚過敏などが起き、さらに進行すると抜歯するしかないほど手遅れになるケースもあります。咬合性外傷は歯周病を悪化させかねませんし、歯の周囲だけの影響にとどまらず、顎の痛みや頭痛、肩こりなどの原因にもなりえます。

咬合性外傷が原因で起こる!?「アブフラクション」とは

アブフラクション(abfraction)とは、歯科の専門用語で、歯に強い力が加わり続けることで、歯と歯茎の境目が割れて破損してしまうことをいいます。歯の表面は硬いエナメル質が覆われていますが、歯茎の下に埋もれている部分のエナメル質は薄いため、過度の咬合力がかかり続けるとその部分から割れ象牙質(セメント質)が剥き出しの状態になってしまいます。その部分に冷たい食品などが触れると、知覚過敏を引き起こします。

アブフラクションの原因は、歯の食いしばりや歯ぎしり、噛み合わせの悪さなどであり、咬合性外傷の原因と同様といえます。つまり両者は、合併して起こることもあるのです。

アブフラクションはどうやって治療するの?

軽度のアブフラクションでは、ひとまず経過観察とします。歯がわずかに欠けた程度の症状ですので、歯を直接治療することまではせず、知覚過敏があるときに薬を塗って処置します。
ただし、歯ぎしりや噛み合わせの状況などに問題がある場合はマウスピースなどで歯を保護する措置を行う場合があります。
また、アブフラクションが起きている場合、硬い毛の歯ブラシで歯磨きをすると象牙質を痛めることになるので控えるようにしてください。

歯が相当程度に欠けた状態の中度のアブフラクションでは、歯の欠損部分に歯科用のプラスチック樹脂を充填して補修します。また、マウスピースでの保護処置を行うこともあります。

重度のアブフラクションになると、プラスチック樹脂で補修しても脱落するおそれがあるため、原因を元から絶つための噛み合わせの検査と治療(咬合再構成)に踏み切ることになるでしょう。

また、歯の大部分が欠けて短くなっている「咬耗症」にまで及んでいる場合は、ボツリヌス注射で顎の筋肉を麻痺させたり、顎をマッサージしたりして、噛む力を弱める治療を行います。また、認知行動療法によって、無意識の食いしばりや歯ぎしりを常に意識させる心理学的アプローチを実施することもあります。

おわりに:アブフラクションを進行させないためにも、早めの歯科治療を!

歯が揺れたり欠けたりする咬合性外傷と、歯のエナメル質が磨り減って知覚過敏になるアブフラクションは、どちらも歯ぎしりや強力な食いしばりなどの行為が原因で起きますので、お互いに関連性が高いです。アブフラクションが軽度のうちの症状は、知覚過敏ぐらいの症状で済みますが、重度になると噛み合わせの治療を行う必要も出てきます。我慢したり放置したりせず、早めに歯科医に相談しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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