記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病足病変とは糖尿病の合併症のひとつであり、糖尿病による神経障害や血流障害、免疫低下などが複合的に関わりあうことで起こります。この記事では、糖尿病足病変の検査と予防法について解説しています。糖尿病の人や家族に糖尿病人がいる場合は参考にしてください。
糖尿病足病変とは、糖尿病患者の下半身(足など)にできる感染や潰瘍、あるいは身体の奥深くに生じる破壊的病変のことをいいます。糖尿病患者の中でも、男性や病歴の長い方がかかりやすいといわれています。
糖尿病になると合併症として、神経障害や末梢血流障害が現れたり、高血糖による免疫力の低下で細菌に感染しやすくなったり、血液循環の悪化が起こります。足病変はそうした一連の症状が総合的に現れている症状です。
糖尿病足病変が疑われる具体的な症状は、以下の通りです。
・足の裏の違和感
・足のしびれ、冷え(おもに血行障害が原因)
・足の感覚の麻痺、ケガに気づかない(おもに神経障害が原因)
・足がつる、こむらがえり(ふくらはぎの痙攣→神経障害が原因)
・靴擦れや、魚の目、タコができている(おもに免疫力低下が原因)
さらに悪化すると、足の組織が壊死してしまう「壊疽」にまで進行します。しかし、神経障害が深刻だと、本人は壊疽していることすら気づかないこともあります。
糖尿病の足病変を調べる検査には、以下のものがあります。
<目視による足の診察>
足にタコなどのできものができていないか、壊疽や変形がないかを調べます。
<神経障害の検査>
感覚麻痺の程度を調べる触覚検査や振動覚検査、あるいはアキレス腱反射などを調べる検査を行います。
<血液循環の検査>
糖尿病患者は末梢動脈が細く、血行が悪くなりやすいです。手と足で血圧の差を調べて、足病変による末梢動脈疾患の進行程度を検査します。
<感染症の検査>
爪の変形、足の腫れ、膿の有無などを目視で観察します。感染レベルがひどい場合は、血液検査やCTなどによる画像診断などを併用することもあります。
まず、ご自分の足を常に気にして、観察する習慣をつけるようにしましょう。
また、足を清潔に保ち、入浴時にはよく洗い、入浴後は足をよく拭いて乾かすようにしてください。爪切りや爪ヤスリなどで手入れをし、靴や靴下は締め付け感の少ないものを選ぶようにしましょう。
冬場は、様々な場所に暖房器具が置いてあります。知らないうちに、やけどをしないよう、暖房器具からは常に離れた位置にいるようにしましょう。就寝時は湯たんぽなどで低温やけどを起こしやすいので、事前にタオルで巻いて温度調整するなどの配慮が大切です。
タコなどのできものを自分で処置するのは、細菌感染が広がるおそれがあるため、必ず医師に相談してください。
糖尿病は様々な恐ろしい合併症を引き起こしますが、足病変もそのひとつです。壊疽が進めば、場合によっては足を切断しなければならないかもしれません。壊疽は、足に対する無関心が引き起こす場合があります。糖尿病になってしまったら、人一倍、ご自分の足を気にする習慣を付けることをおすすめします。また、糖尿病をこれ以上悪化させないことも重要です。血糖コントロールを徹底し、合併症の発症を予防しましょう。