記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
唾液腺には、耳下腺・舌下腺・顎下腺があり、この中でも耳下腺と顎下腺に腫瘍ができることを唾液腺腫瘍と呼びます。それぞれ耳下腺腫瘍や顎下腺腫瘍とも呼びますが、これらの腫瘍はどのように治療するのでしょうか。この記事では唾液腺腫瘍の手術について解説しています。
耳下腺腫瘍(じかせんしゅよう)と唾液腺腫瘍(だえきせんしゅよう)は、それぞれ「耳下腺(じかせん)」と「唾液腺(だえきせん)」にできる腫瘍のことです。
唾液腺とは口内で唾液を分泌する器官で、なかでも耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺(がっかせん)、舌の下にある舌下線(ぜっかせん)の3つは、特に大きな唾液腺と言われています。
唾液腺腫瘍は、これら3つの大きな唾液腺のうち耳下腺か顎下腺のどちらかにできるものとされ、腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。
いずれの唾液腺腫瘍も、明確な発症原因はわかっていません。
症状としては耳下腺の場合は耳の下、顎下腺の場合は顎の下から首のあたりにかけてのしこりや腫れが挙げられます。
急速に大きくなっていたり、痛みを伴うものは悪性の可能性が高いと言われますが、全体の8~9割のものは、良性腫瘍であると言われています。
唾液腺腫瘍は薬で小さくしたり散らすことができないため、治療は手術による摘出が基本となります。
特に悪性腫瘍(がん)の可能性が疑われる場合は、一刻も早い摘出手術が求められます。
良性腫瘍なら一定期間の経過観察をする場合もありますが、唾液腺腫瘍は良性でも増大したり悪性に転化しやすいと言われているため、早めの摘出手術が推奨されています。
このため、持病やアレルギーの関係で手術が不可能でない限りは、腫瘍が良性でも悪性でも、外科手術による治療が行われるのです。
唾液腺腫瘍の摘出手術は、全身麻酔によって行われます。
顎下腺腫瘍の場合は腫瘍の良性・悪性にかかわらず唾液腺組織を全摘出しますが、耳下腺腫瘍の場合は、腫瘍を覆う膜と耳下腺組織の一部とともに腫瘍を摘出するのが特徴です。
ただし、耳下腺腫瘍が悪性のがんであった場合は、腺全体を摘出することもあります。
摘出の際、膜が破れて腫瘍が他の組織に触れると再発の原因となるため、細心の注意が必要です。
また、耳下腺付近には顔面の神経やリンパ節などがあるため、これらの組織に転移や損傷がないかを確認しながら、手術が進められます。
なお、顎下腺と耳下腺のどちらの唾液腺腫瘍の場合も切開の傷は小さくて済むため、3か月ほどで首のシワに紛れて傷が目立たなくなります。
耳下腺腫瘍・顎下腺腫瘍などの唾液腺腫瘍の治療は、腫瘍の良性・悪性にかかわらず手術が必要になります。腫瘍の状態をできるだけ早く把握し、適切な摘出手術を受けるためにも、耳の下や顎付近に腫れやしこりを見つけたら、すぐに医療機関を受診しましょう。