記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/19 記事改定日: 2019/3/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンが原因といわれていますが、厳密にいうと違うということを知っていますか?
この記事では、AGAの発症の原因について詳しく解説していきますので、薄毛に悩む男性は参考にしてください。
AGAの最も大きな原因として考えられているのは男性ホルモン(テストステロン)です。テストステロンは5αリダクターゼという変換酵素の働きによって、ジヒドロテストステロンというホルモンに変換されます。
このジヒドロテストステロンはテストステロンの10~30倍の強さを持ち、毛乳頭細胞にある受容体に結合することにより、毛乳頭細胞を委縮させ、発毛を抑制してしまうといわれています。
ストレスにより、自律神経やホルモンのバランスが崩れると、過剰な血管の収縮を招くなどして頭皮の血行も悪化します。その結果、毛根に十分な栄養が運ばれず、毛髪の成長が妨げられてしまいます。
同時に、ストレスによってある種のコラーゲンが不足すると、髪の元になる毛母幹細胞の分化(毛母細胞への変化)が促進され、一方で分裂が抑制されるため、一時的に髪は伸びても毛母幹細胞の数が減少します。そこから誘導される毛母細胞も減ってしまい、結果として髪は細くなり伸びないというサイクルに陥ってしまいます。
また、ストレスを感じることで人間は大量にアドレナリンを分泌しますが、これが頭皮から出る皮脂を過酸化脂質に変えてしまいます。この過酸化脂質は粘性が高く、毛穴を詰まらせることで、抜け毛を引き起こしてしまうと考えられています。
栄養バランスの悪い食事は薄毛の原因になると指摘されています。一例として、脂分や塩分、糖分を多く含む食べ物の過剰摂取や、たんぱく質の不足などが挙げられます。
また、睡眠不足が続くと栄養が髪の毛まで行きわたりりにくくなるといわれています。細胞が一番活発に働き、髪の毛も一番伸びる時間帯(午後10時~午前2時)に眠ることができないと、髪の毛が成長できなくなってしまい、結果AGAを引き起こしてしまうことになります。
さらに運動不足も血行の悪化やストレスにつながり、過度な飲酒はアルコールを分解するために、髪の毛にとって大切なミネラルや亜鉛の消費を招きます。喫煙習慣も、血管を収縮させ、頭皮の血流を悪化させてしまうといわれています。
ドイツの大学の研究チームにより、AGAは遺伝の可能性があることが発表されました。研究によれば、若くして頭髪が薄くなる人は、X染色体にある男性ホルモン(アンドロゲン)の受容体遺伝子に変異が目立つと指摘されています。
しかしながら上記したストレスや生活習慣が薄毛の引き金になったり進行度に関連していることも示唆されており、遺伝がAGAの唯一の要因とはいいきれなません。
AGAの原因は5αリダクターゼの増加とされていますが、5αリダクターゼが増える原因は様々です。このため、生活習慣の改善だけではAGAの発症や悪化を完全に予防することはできません。
また、AGAにはミノキシジルやプロペシア®︎などの治療薬が開発されていますが、全ての薄毛に効果があるわけではありません。むしろ、自分に適さない治療薬を自己判断で使用し続けることでかえって薄毛が悪化してしまうことがあります。
薄毛が気になる場合は、安易に市販薬などを使用せずに、薄毛の原因を調べるためにもまずは皮膚科や美容クリニックなどを受診して医師に相談するようにしましょう。
また、普段から食生活やストレス解消などの生活習慣に注意し、頭皮に刺激になるようなシャンプー・染髪料を使用しない、頭皮の乾燥を予防するなど頭皮を労わるような習慣を心がけましょう。
5αリダクターゼがAGAの発症に関わっていることはわかっていますが、5αリダクターゼが増える原因は複数あり、人によって対処法が違ってきます。
AGAの疑いを抱いたら早めに受診し、原因を追究したうえで適切な治療を受けるようにしましょう。