甲状腺クリーゼとは ~ バセドウ病の重症化に要注意 ~

2018/1/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

甲状腺クリーゼとは、甲状腺ホルモンが過剰になってしまうことで様々な症状が起こる病気です。重症化すると命に関わる可能性もあります。この記事では、甲状腺クリーゼの原因と治療法について解説しています。バセドウ病や甲状腺機能亢進症の人は発症するケースが多いといわれているので、きちんと理解しておきましょう。

甲状腺クリーゼとは

甲状腺クリーゼとは、甲状腺ホルモン過剰の影響で、生体の代償機構が破綻し多機能不全に陥った状態です。症例は年間約150例とされています。これは、甲状腺機能亢進症が重症化した状態のことで、心不全、不整脈、38度以上の高体温などを伴い早急に対象しなければ死に至ることもあります。

甲状腺クリーゼの症状と診断基準

中枢神経に障害があらわれます。意識がもうろうとしたり、言動がおかしい、幻覚、妄想、強直性間代性けいれんや38度以上の発熱、頻脈、心不全を起こし、呼吸困難に陥ったり、心原性ショック状態に陥ったりします。また、吐き気や嘔吐、下痢、黄疸を伴うこともあります。
中枢神経症状(不穏、精神異常、せん妄、傾眠、痙攣、昏睡)とその他の症状(発熱、頻脈、心不全症状、消化器症状)から1つ以上がみられる場合や、中枢神経症状以外の3つを満たした場合に甲状腺クリーゼと診断することができます。ただし、厳密には甲状腺ホルモン値の計測が必要です。

甲状腺クリーゼの原因

甲状腺クリーゼは、コントロール不良の甲状腺機能亢進症やバセドウ病が主な原因です。抗甲状腺薬の自己中断、不規則な服用によって甲状腺クリーゼを発症することがもっとも多いとされ、その割合は全体の40~50%に登るといわれています。
肺炎や上気道炎などの感染症がきっかけで発症することもれば、インフルエンザ、尿路感染症、外傷、手術、ストレスなどが原因となることもあります。また、真夏日など高温に暴露したり、甲状腺手術、甲状腺アイソトープ治療などが甲状腺クリーゼを引き起こすこともあります。

甲状腺クリーゼの治療

集中治療室などに入院のうえ、室温を20度以下に調節し、全身を冷却します。必要に応じて解熱鎮痛剤を使用することもあります。さらに、電解質やビタミン剤などの輸液で脱水補正をします。抗甲状腺薬を使用し、さらにヨウ化カリウムや、経口摂取不能な場合にはルゴール液30滴を使用することもあります。

心不全も対処として利尿剤フロセミドやバソプレシン受容体拮抗薬を使用したり、感染症に対して抗菌薬が使われることもあります。
胃酸を抑え、胃粘膜を保護する薬を投与し、血圧低下のためβブロッカーが使われることもあります。

そして甲状腺クリーゼになると、副腎皮質ホルモンが分解され、副腎クリーゼを合併することがあります。そのような場合は、副腎皮質ステロイドを使用が必要です。

おわりに:甲状腺クリーゼはバセドウ病などの甲状腺疾患が原因。必ず医師に指示通りに治療を続けよう

甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進の影響で起こる多機能不全のことです。原因は様々ありますが、主にバセドウ病や甲状腺機能亢進症などが原因で発症します。これは治療薬を自己判断で中止したことで起こることも多いといわれています。バセドウ病や甲状腺機能亢進症の人は、必ず医師の指示に従い最後まで治療を続けましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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