記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/25 記事改定日: 2020/3/26
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺クリーゼとは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こり、重症化すると命に関わることもあります。この記事では、甲状腺クリーゼの原因と治療法について解説しています。バセドウ病や甲状腺機能亢進症の人はきちんと理解しておきましょう。
甲状腺クリーゼとは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌する影響で、生体の代償機構が破綻し多機能不全に陥った状態です。甲状腺クリーゼは甲状腺機能亢進症が重症化することで起こり、心不全、不整脈、38度以上の高体温などの症状が現れ、早急に対処しなければ死に至ることもあります。
甲状腺クリーゼでは以下のような症状が現れます。
中枢神経症状(不穏、精神異常、せん妄、傾眠、痙攣、昏睡)とその他の症状(発熱、頻脈、心不全症状、消化器症状)から1つ以上がみられる場合や、中枢神経症状以外の3つを満たせば甲状腺クリーゼと診断されることがありますが、厳密には甲状腺ホルモン値の計測が必要です。
甲状腺クリーゼは甲状腺ホルモンの過剰分泌によって引き起こされますが、その原因は、以下のように甲状腺自体の異常によるパターンと甲状腺には直接的な異常がないパターンがあるとされています。
しかし、甲状腺クリーゼは明確な発症メカニズムが解明されていない部分も多く、原因がはっきりしないケースも少なくありません。
甲状腺クリーゼは致死率も高く、万が一発症した場合は早急な治療が必要となります。
治療の主体は、大量に分泌、投与された甲状腺ホルモンの作用を抑えることであり、抗甲状腺薬や甲状腺ホルモンの産生を抑える無機ヨウ素薬の投与が行われます。
また、甲状腺クリーゼは呼吸状態の悪化や心不全などを引き起こすため、重症な場合には人工呼吸や人工心肺による全身管理が必要となります。さらに、高熱に対しては解熱薬、けいれんや幻覚などの神経症状に対しては鎮静剤・抗けいれん薬を使用するなどそれぞれの症状を緩和させるための対症療法が必要です。
甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進の影響で起こる多機能不全のことです。原因は様々ありますが、おもにバセドウ病や甲状腺機能亢進症などの悪化で発症し、治療薬を自己判断で中止したことで起こることも多いといわれています。バセドウ病や甲状腺機能亢進症の人は必ず医師の指示に従い治療を続けましょう。