記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/25 記事改定日: 2018/5/2
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺疾患とは甲状腺の病気のことであり、大きく「甲状腺機能低下症」と「甲状腺機能亢進症」の2種類に分けられます。この記事では、甲状腺機能低下症と亢進症の症状の違いを種類別に分けて紹介していきます。セルフチェックにも使えるので参考にしてください。
甲状腺機能低下症は、ホルモンの合成や分泌が低下することで全身の代謝が異常に低下します。それによって身体に症状があらわれます。
以下の項目で4つ以上当てはまる場合は病院での検査が推奨されます。
甲状腺の異常や障害によって引き起こされる症状を総称して甲状腺疾患といいます。そのなかでも、多くは甲状腺ホルモンが過剰に分泌する甲状腺機能亢進症と、分泌されないことで異常をきたす甲状腺機能低下症に分けることができます。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが異常に合成、分泌されることで新陳代謝が盛んになり、下記のような症状があらわれます。
上記のうち4つ以上当てはまる場合は病院での検査が推奨されます。
「疲れやすさやだるさがある」「髪の毛が抜ける」など、甲状腺機能低下症と共通する症状が現れることもあるので、上記のような症状が現れたときは自己判断せず、必ず病院を受診しましょう。
まずは問診で、甲状腺の病気特有の症状などがみられるか、いつごろはじまったかなどを確認されます。その後触診で甲状腺の辺りにしこりがあるかどうかをみます。
ホルモン検査では、甲状腺ホルモンと、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血中濃度を測定し、その値をもとに正常か亢進か、低下を判断し、さらに血中の抗体も調べて診断を確実にします。
超音波検査では、腫瘍の内部構造までわかるので、良性、悪性などの判断も可能です。さらに穿刺吸引細胞診は、採血する注射針ほどの針を腫瘍に刺して細胞を吸引して検査します。顕微鏡で確認して良性、悪性の判断をします。
甲状腺刺激ホルモンとは、脳下垂体から分泌されるホルモンであり、甲状腺に働きかけて甲状腺ホルモンの分泌を調整する作用を持ちます。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌された状態では、脳下垂体が敏感にホルモンの濃度を察知し、TSHの分泌量を少なくすることで甲状腺からのホルモン分泌を抑制するように作用します。一方、甲状腺ホルモンが少ない状態の場合にはTSHが多く分泌され、甲状腺からのホルモン分泌を促す働きをします。
このように、甲状腺ホルモンとTSHは密接な関係があり、分泌量を調整し合っているのです。
甲状腺機能低下症の場合には、甲状腺ホルモンが減少しているのでTSHは高値を示します。また、稀に脳下垂体に腫瘍や梗塞などのダメージが生じてTSHの分泌量がていかすることがあり、これによって甲状腺機能低下症が引き起こされることもあります。
3000~5000人に1人の頻度で、先天的に甲状腺ホルモンの分泌が不足する病気が生じます。この病気をクレチン症と呼び、日本では新生児マススクリーニング検査の一つに含まれている疾患です。新生児マススクリーニング検査が広く普及している日本では、生後間もなくに診断され、適切な治療が行われることがほとんどです。
しかし、中には診断が下されずに治療が行われない場合もあり、新生児期には、泣き声が弱い、哺乳量が少ない、体重が増加しないなどの発育不良や冷え、便秘などの症状も現れます。これらはその子の体質として見逃されてしまうことも多く、そのままの状態で成長すると知能や生育の発達の遅れにつながるので注意が必要です。
甲状腺疾患はわかりやすい症状がでないこともあるので、発見が遅れがちな病気です。症状によっては日常生活に支障をきたすこともありますが、周囲に理解されにくい症状もあるため、大きな悩みを抱えてしまうケースも少なくありません。少しでも疑わしい症状があるときは、早めに病院を受診して検査してもらいましょう。