非結核性抗酸菌症の対処に漢方薬が使われることがあるのは何故?

2018/1/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

非結核性抗酸菌症は結核菌以外の菌によって起こる病気です。この病気を発症したとき、場合によっては漢方薬が処方されることがあります。漢方薬が使われる理由とともに、服用にあたって気をつけたいことをご紹介します。

非結核性抗酸菌症とは?

非結核性抗酸菌症は土や水などに存在する非結核性抗酸菌が肺に感染することで発症します。非結核性抗酸菌は結核菌のように人から人へは感染せず、病気の進行が緩やかであるものの、抗結核薬があまり有効ではないという点が、結核菌との違いです。また、自覚症状がないので、胸部エックス線検診や結核の経過観察中などに見つかるケースが少なくないとされます。
菌の種類は150種類以上とされますが、非結核性肺抗酸菌症の80%がMAC菌で、次に多いのがカンサシ菌(約10%)です。年間約8,000人が発症しており、女性の患者がやや多めです。また、肺結核は年々減少しているのに対し、非結核性肺抗酸菌症は増加していると言われています。

治療に漢方薬が注目される理由

非結核性抗酸菌症と判明した場合、薬剤による治療が行われます。ただ、こうした治療を行っても、非結核性抗酸菌症の原因となる抗酸菌を完全に除去することは難しく、その点で結核菌よりも治療が難しい面があるとされます。
非結核性抗酸菌症は、いったん投薬治療が効いたとしても、抗酸菌が存在している限りは体調不良がきっかけで再発するリスクがあります。闘病をサポートするものとして、近年は漢方薬を併用することがあります。漢方薬は、体質改善をすることで病気に対抗する作用をもたらすもので、免疫力アップを図って身体の抵抗力や自然治癒力を高めるとともに、抗酸菌の増殖を抑えて再発や進行を止めることにつなげます。

治療に使われるのはどんな漢方薬?

非結核性抗酸菌症に用いられる漢方薬として、補中益気湯(胃腸の働きをよくして、弱った体力を回復をさせる効能を持つ)や、麦門冬湯(乾いた咳を止める効能を持つ)があります。人参養栄湯(大病や手術等で弱った体力を回復させ、慢性疾患による疲労倦怠や貧血、虚弱体質や手足の冷えなどに有効とされる)のほか、滋陰至宝湯(微熱があって体力が低下している時のしつこい咳を鎮め、痰をきりやすくする)が処方されることもあります。また、慢性肝炎や気管支炎などの炎症性疾患にも処方される小柴胡湯は、胸が詰まるような苦しさを緩和し、のどの渇きや吐き気、口の苦みやイライラがあるときにも使われます。
漢方薬は同じ効能を持つものでも体質によって処方が変わることがあるため、自分に合う漢方薬を処方してもらうことが大切です。

漢方薬は治療の手助けに使うもの。注意点を知ろう!

漢方薬は副作用が少ないと考えられていますが、飲み合わせによっては作用が強く出過ぎてしまうこともあるため、2種類以上の漢方薬を服用する際は注意が必要です。医師の処方を受けたのであれば、2種類以上処方された漢方薬を一緒に服用したり、西洋医学で処方された薬と合わせて服用しても大丈夫ですが、市販薬と併用したいときは医師もしくは薬剤師に相談することが大切です。
たいていの漢方薬は、病気の症状そのものを劇的に改善させるのではなく、病気を治すのを早めるための体力をつけたり、病後の弱った身体の回復を促して再発しにくい体質に導くことを目指します。治療効果を高めるためのサポート役といった面もありますので、体質に合った漢方薬を処方してもらうとともに、用法用量を守って継続することが、より良い効能を得るカギになります。

おわりに:体質改善の目的で漢方薬が使われることもある

非結核性抗酸菌症を発症した場合はまずは医師の指示のもと治療薬が処方されますが、体質改善の目的で漢方薬が使われることもあります。漢方薬は自分の体質に合うものを服用することで効能を得られます。また、漢方薬にも副作用はあります。このため、医師の指示をよく守って服用することが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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