記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
お酒を過度に飲む習慣がある人は、アルコール依存症や肝硬変などの深刻な病気を発症するリスクが上昇します。この記事では、飲酒のリスクについて解説しています。飲酒習慣がある人は、この記事を参考に自身のお酒の飲み方を見直してみましょう。
アルコールの過剰摂取は、様々な健康問題を引き起こすことがあります。これはアルコールに強い体質の人でも同様であり、日本酒3合、ビール大瓶3本程度の量を2~3年毎日のように飲んでいると脂肪肝になりやすいとされ、アルコールに弱い人はそれよりも少ない量で健康問題が起こると考えられています。過度な飲酒は肝臓でアルコールが代謝されるときに中性脂肪が蓄積したり、脂肪肝や肝硬変などの肝臓障害を起こすことがあるのです。
肝臓障害(肝障害)とは肝臓機能に障害が起きている状態です。発症すると血液の肝機能検査で異常値を示します。
アルコールは胃や小腸から吸収され、その大部分が肝臓で処理されます。アルコールは、悪酔いや頭痛、動悸の原因になるアセトアルデヒドになりますが、その後、肝臓内のアセトアルデヒド脱水素酵素によって、人体に無害な酢酸と水へと分解されます。このときできた酢酸と水は、汗や尿、呼気に含まれて外へ排出される仕組みになっています。
アルコールを大量に飲み続けて肝臓障害が進むと、肝臓での中性脂肪の合成が高まって蓄積したり、肝臓に繊維が形成されて肝線維症や肝硬変になったり急激に肝細胞が壊されることでアルコール性肝炎になることがあります。
飲酒に対するコントロールを失ってしまう状態をアルコール依存症といいます。アルコール依存症は長期間にわたって大量に飲酒を続けると、精神的、身体的な依存が形成され、どうしても飲まずにはいられない状況になり、常にお酒を求め、飲酒のために暴動を取ることもあります。酒癖が悪い人や意志の弱い人だけがなるものではなく、お酒を飲む人なら誰でも発症する可能性があるものです。
アルコール依存症が重症化すると、48時間ほど経って体から完全にアルコールが抜けた状態になったときに汗をかいたり、手足がふるえたり、幻覚を見るなどの禁断症状が現れるようになります。そして、それを抑えるためにさらにアルコールを飲むという悪循環が生まれてしまうのです。
治療のためには断酒が必要であり、大半は生涯断酒が必要になるでしょう。アルコール依存症にならないためにも、自分がどんなお酒の飲み方をしているか、客観的に見つめ直すことが重要です。
アルコール依存症は、酒癖が悪い人だけがなるものではありません。飲酒する人全てに発症する可能性があり、治療には生涯禁酒しなければいけなくなってしまうこともあります。そして、お酒の飲みすぎで肝硬変を発症するまえに、アルコール依存症のスパイラルから抜け出すことが重要です。お酒を飲む人は周囲の人の意見を聞きながら自身のお酒の飲み方を見直し、必要であれば専門家に相談し早期解決をはかりましょう。