記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肩こりの原因には、日常の生活習慣に由来するものと、他の病気に由来するものがあります。病院を受診すると、処方薬や漢方薬を処方してくれますが、病院でもらう薬で肩こりを解消できるのでしょうか。この記事では、肩こりの治療薬について解説しています。
肩こりとは首から肩にかけての筋肉が緊張することによって、血行が悪くなり、重く感じる状態のことを指します。
症状は人によって異なりますが、多くの人は首すじ、首のつけ根のあたりから肩または背中にかけて張る感じ、凝る感じ、痛みを訴えます。また、重い肩こりの方の中には頭痛や吐き気といった症状を訴える人もいます。
肩こりが起こる原因として「日常生活で考えられる原因」と「肩こりを伴う疾患」に分けることができます。
肩や首の周辺にはさまざまな筋肉があり、重い頭や腕を支え続けてるため、立っているだけでも筋肉は緊張状態になりやすいといわれています。筋肉は緊張し続けると疲労物質が溜って硬くなり、それが血管を圧迫して血液の循環が悪くなったり末梢神経を圧迫することで凝りや痛みが起こったりすると考えられているのです。
これらの原因として考えられるのは首や肩が緊張するような姿勢での長時間作業したり、猫背など姿勢が悪かったりすることなどがあり、その他にもストレスや運動不足、冷房、ショルダーバックの使用などが挙げられます。
肩こりを伴う疾患は、整形外科の分野とそうでない分野があります。
整形外科の分野では変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎捻挫、頸椎後縦靱帯骨化症、胸郭出口症候群、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎(五十肩)、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症などがあります。
一方、そうでない分野の疾患としては高血圧症、狭心症、貧血、更年期障害、うつ病、眼精疲労、風邪、歯周病、咬合不全が考えられます。
肩こりを訴えて病院を受診した場合に医師から処方される機会の多いお薬は、炎症を和らげる消炎鎮痛剤、筋肉の緊張を緩めて凝りをほぐす筋弛緩剤、筋肉疲労を改善させるビタミン剤となります。また、痛みに対して不安がある方には精神安定剤、体質や症状によって漢方薬も処方されます。消炎鎮痛剤は貼り薬、いわゆる湿布として処方されることが多いです。
肩こりで刺激を受けることによってブラジキニンやヒスタミンという発痛物質が発生し、これが感覚中枢に作用することによって痛みが引き起こされます。このときにプロスタグランジンという物質も作られ、これが神経に作用すると痛みを増強させることにもつながります。
消炎鎮痛剤は痛みのもととなるプロスタグランジンを抑え、発痛物質の伝わりをブロックしてくれるため痛みを初期の段階で抑えることができます。
また、ビタミン剤は肩こりに対してさまざまな効果をもたらします。
ビタミンB1、B6には筋肉疲労や筋肉の緊張、ビタミンEは血行不良、傷ついた末梢神経の修復にはビタミンB12の効果があるといわれています。
漢方医学の観点から診ると、肩こりとは気と血のめぐりが滞っている状態を指します。
そのため、漢方医学ではこの気と血の巡りを良くすることで肩こりを改善させていきます。
肩こりに効果的とされる漢方薬として代表的なのが「独活葛根湯」です。
独活葛根湯は熱を作る力を助けて体を温める葛根湯をベースに、痛みを止めたり足りなくなっている血や気を補ったりする役割を持つ独活と地黄が加えられていることで、肩こりを改善する効果があると考えられています。
肩こりは日常生活によるものでなく病気が原因となるものもあるため、肩こり以外にも自覚症状がある場合は病院へ受診することをおすすめします。肩こり以外の症状が無ければ、病院以外にも漢方医学に頼る方法もあるため、自分のタイプに合わせた治療方法を行ってみましょう。