記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
近年、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害は配偶者だけでなく、内縁関係や恋人間で急増しています。ここでは、DV被害者が助けを求めるための方法について解説します。
配偶者から暴力をうけることをドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力;DV)といいます。近年では広義な意味で、婚姻の有無を問わず、元夫婦や恋人など、近親者間に起こる暴力全般を指しています。DVには夫婦関係や家族間の身体的暴力、精神的暴力、性的虐待が含まれます。
DVは、だれでも受ける可能性があり、同時にだれもがその加害者となり得ます。そして、これは女性だけに起こるとは限りません。男性でも、パートナーが男性であるか女性であるかに関係なく被害者になり得るのです。
次のようなことが、DVの特徴とされています。
・脅迫してくる
・押してきたり、突き飛ばしてくる
・あなたの身体的安全が損なわれるような行為をしてくる
・意図的に落胆させてきたり、あなたの自尊心を傷つけることをしてくる
・あなたが友人や家族に会わせない、会わないように圧力や統制をかけてくる
・あなたの友人や交友関係に疑いをかけてくるなど、嫉妬深く、独占欲が強い
・怖がらせてくる
DVは、緊急事態に発展してしまうまで助けを求めるのを待つ必要はありません。DVかもしれないと思ったら、住んでいる地域の警察署、配偶者暴力相談支援センター、女性センターまたは医師や医療専門家に相談してください。24時間、365日電話相談を受け付けているところもあります。
配偶者暴力相談支援センターや女性センターは、各都道府県にあります。相談内容は機密事項として扱われ、第三者に知られることはありません。
配偶者暴力相談支援センターなどでは、次のような支援を受けることができます。
・情報や実践的なアドバイスの提供
・事態の説明をするための時間や場所の提供
・ほかの専門機関への相談方法の教示およびサポート、移住・住宅供給および法的助言を支援・提供する機関、ペアレンティング(その人の保護者となること)に関するアドバイスおよびサポート、子どもとのコンタクトや転校に関する支援 など
サポートには、DV被害に関する専門機関、精神的医療機関、メンタルクリニックや相談室などの精神的サポートサービス、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人のための支援サービスが含まれます。DV被害を受けているLGBTの人の支援機関もあります。また、男性に対するレイプや性的虐待を扱う組織もあります。最寄りの支援機関を探してください。
DVを逃れるための第一歩は、自分はひとりではなく、DVが自分のせいで起こされたものではないことを認識することです。
その場から避難する前に、支援組織に相談しましょう。
シェルターと呼ばれる一時避難施設や子どもの転校などのアドバイスをくれるでしょう。
加害者から離れることを決めたときは、だれかにそのことを話すのは注意してください。避難するには、加害者が「あなたの行き先を知らない」ということが大前提です。
DVは夫婦喧嘩ではなく「犯罪」です。DVを受けた、DVかもしれないと思ったときは、ひとりで悩まずに相談してください。すべての女性がDVを受ける可能性があります。勇気をもって相談すれば、助けてくれる人と場所はたくさんあります。
DV相談ナビ:0570-0-55210(配偶者からの暴力 ここにでんわ)