心房中隔欠損症とは? ~ 症状・治療法を解説 ~

2018/2/2

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心房中隔欠損症は、生まれつき心房の壁に穴があり、右心系(右心房、右心室、肺)の血流量が増えてしまうため、肺がうっ血したような状態になる症状です。この記事では、心房中隔欠損症の特徴や症状、治療法について解説します。

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心房中隔欠損症はどんな病気?

心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋によって構成されています。心臓に帰ってくる血液を受け入れる部分は心房と呼ばれ、酸素をたくさん含んだ血液が帰ってくる部分を左心房、体を巡って酸素を失った血液が戻ってくる部分は右心房と呼ばれます。これらの左右の心房は、心房中隔という壁で仕切られており、両方の血液が混ざり合わないようになっています。心房中隔欠損症とは、この壁(心房中隔)に生まれてつき欠損(穴)がある状態のことを言います。
心房中隔に穴があると、左心房から右心房へ血液が流入してしまうため、右心系(右心房、右心室、肺)の血流量が増加して、肺がうっ血した状態となってしまいます。その結果、疲れやすかったり、息切れしやすかったりして、正常な成長が妨げられたり、風邪や肺炎などの呼吸器感染症にかかりやすくなったりする症状がみられます。
心房中隔欠損症は先天性心疾患の7%~10%を占めています。

心房中隔欠損症の症状と経過について

心房中隔欠損症の多くは、幼児から小児期にはほとんど、または全く無症状である場合がほとんどです。心房中隔に穴が開いているため、心臓もしくは肺に負担が常にかかっている状態となっていますが、心臓そのものは柔軟性がある組織なので、自覚症状としてあらわれることはありません。血流の負担に対して心臓の部屋が大きくなったり、心臓の壁が厚くなったりして、心臓が病気に適応しようとするからです。
心房中隔欠損症の症状が進行すると、脈の乱れ(不整脈)、肺血管の病気(肺高血圧症)、心臓の弁の病気(心臓弁膜症)などを併発することがあります。このような症状は小児期にあらわれることはまれです。
心房中隔欠損症の治療を行わない場合、40歳~50歳まで生きられる確率は50%とも言われているため、できるだけ早く治療を行う必要があります。

どんな治療法があるの?

心房中隔欠損症の代表的な治療法として、カテーテル治療と外科治療があります。
カテーテル治療は、人工心肺といった装置も使わず、また傷も非常に小さくて済むという大きなメリットがある治療法です。ただし、この治療法は穴が非常に小さく、静脈の開口や弁の開口と穴の位置にカテーテルを留置することができるだけの距離があることが条件となります。
一方、外科治療の場合は全身麻酔を行い、心臓を切開して直接欠損している部分の状態を確認します。その後、パッチという手術器具をあてて穴を直接塞ぎます。心臓を切開するので、一度心臓の鼓動を止める必要があります。その間、人工心肺という装置を使って身体に必要な血流を確保します。

おわりに:心房中隔欠損症は先天性の病気だが、症状は成長してからあらわれることが多い

心房中隔欠損症は、生まれつき心房の壁に穴がある症状ですが、穴があることによる症状(不整脈や肺高血圧症など)は成長してから現れることが多いのが特徴です。ただ、放置していると寿命が短くなってしまう恐れがありますので、疲れやすすい、息切れしやすいといった症状がみられたら、念のため病院で検査してもらうことをおすすめします。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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