記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
扁桃肥大とは、喉の粘膜の中にあるリンパ組織である扁桃が大きくなってしまった状態です。扁桃肥大になった場合、手術で取り除くのだろうか、と考えるかもしれませんが、症状によっては手術が不要なこともあります。この記事では、どのような場合に手術をするのかなど、治療法について解説します。
扁桃は喉の粘膜の中にあるリンパ組織のひとつで、外部から体内に侵入しようとする病原体を防ぐ役割を果たしています。扁桃肥大は、この扁桃が肥大化した状態です。
喉には、咽頭扁桃(アデノイド)、耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃の4つがあり、この中で一般的に扁桃と呼ばれているのは口蓋扁桃です。扁桃肥大になると、口を大きく開けたときに上あごの奥にある、いわゆる「のどちんこ」と呼ばれる部分の両側が大きくなっているように見えます。
扁桃肥大は、年齢や性別を問わず、誰にでも起こりうる症状です。ただし、症状の出方や感じ方などは個人差・年齢差があるため、それぞれに合った対処が必要となります。
扁桃肥大の主な症状として、食事を摂りにくくなる、発熱、成長の阻害、いびきや呼吸が抑制されるために睡眠時無呼吸症候群を発症する、などが挙げられます。これらの症状がみられたら、症状によっては早急に対処する必要があります。
ただし、子供の場合は成長過程の中で扁桃が肥大する時期があります。これは感染症から身体を守るためなので、扁桃が肥大していても問題ありません。一般に、最も扁桃が肥大化するのは7歳ごろで、それ以降は徐々に小さくなります。
一方、大人の場合は、扁桃が肥大化していても、症状によっては自分では気付かないことも少なくありません。
扁桃肥大の症状がある場合、手術が必要な場合と、必要ではない場合があります。特に子供の場合、扁桃肥大以外の症状が見られない場合は経過を見守ります。また、大人の場合や他の症状がみられるという場合も、一時的な炎症により扁桃が腫脹しているだけなら、内服薬や点鼻薬を使用すれば症状が軽減されるとともに扁桃の腫脹もおちつく可能性があります。
また、扁桃肥大の原因が必ずしも扁桃そのものにあるとは限りません。摂食障害などが原因となっている場合には、それらの病気の治療を行う必要があります。このため、扁桃が肥大化しているからと言って、早急に手術が必要となるとは言えないでしょう。
扁桃肥大の手術が必要となる場合とは、1年に5回以上、発熱や喉の痛みによって仕事や学校を休まなければならない場合です。特に溶連菌の感染を繰り返すというような状況であれば、手術は有効な治療方法と言えるでしょう。
また、扁桃が大きくなったために呼吸が妨げられている場合も、手術をすることで呼吸が楽になります。いびきや睡眠時無呼吸症候群の改善・軽減が期待できます。
そして、滲出性中耳炎を起こしている場合、その原因が扁桃にあることもあります。この場合も、扁桃を取り除くことで中耳炎の治療につなげる必要があります。手術が必要かどうかは個々の状態によっても異なるため、医師と相談して決めることが大切です。
扁桃肥大があると、手術で摘出したほうがいいのではないかと思うかもしれません。しかし、扁桃肥大以外に特に症状がない子供や、一時的な炎症が原因と考えられる場合は、手術をしなくても治ることがあります。まずは医師に診てもらい、扁桃肥大の原因は何かや、どのような治療が最適かを判断してもらうことが大切です。