記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
・禁煙の第一の難関・魔の16時間 -
とにかくニコチンが欲しい禁煙初日の16時間。
・禁煙の第二の難関・解毒 -
ニコチンがカラダから完全に抜ける3週間。
・禁煙の最後の難関・禁煙うつ -
ニコチンの禁断症状の究極形、うつ状態。
少年漫画や格闘ゲームの世界のごとく、禁煙には、禁煙を阻む大きな壁が立ちはだかり、心を折り、挫き、砕くため、なかなか成功しづらいものです。
だからこそ禁煙には、強靭な意志が必要になり、その意志の力で壁を乗り越えたあかつきには、達成感をもたらし、メンタルをポジティブにしてくれます。
確かにタバコはおいしいのかもしれません。
しかし、タバコが必要なくなった世界は、別世界に思えるはずです。
いまこそ、その別世界へ旅立つ準備をしましょう!
禁煙に挑み、成功すれば、ストレス、不安、うつをやわらげ、ポジティブに生きる気持ちをもたらしてくれます。
メンタルヘルスの問題を抱えている人だけでなく、すべての喫煙者は、「禁煙は心と体にいいこと」ということを少なくとも潜在的に知っています。
喫煙をやめることの健康上のプラスポイントはいうまでもありませんが、精神面でのプラスポイントもまた、大きいものがあります。
喫煙者は、喫煙していないと、イライラしたり、不安になったり、落ち込んだりします。この不快な気持ちは、タバコを吸うと消えるので、タバコで気分が良くなった気がします。
しかし、実際は、イライラや不安は、喫煙による心理的障害なのです。喫煙がリラックスさせてくれるというのは思い込みです。
現実には、喫煙は不安と緊張を高めます。時間の経過とともに、喫煙者は、非喫煙者より、うつ病または不安障害が発症する可能性が高くなります。
研究によると、禁煙に成功した人の不安、うつ、ストレスのレベルは、喫煙者と比較すると、格段に低く、生活の質や気分も改善していることが示されています。また、体内の酸素レベルが改善されることで、意識も、より物事に集中できる状態になっています。
精神障害のある人が喫煙をやめることの利点は、精神障害がない人同様に顕著で、喫煙を止めると、抗精神病薬の投与が減ります。
不安、うつ、精神分裂症などの精神障害のある人は、喫煙本数が通常の2〜3倍になることもあるため、禁煙の効果も高くなります。
メンタルヘルスの問題を抱える人の喫煙本数がなぜ多いかというと、ニコチンが不安、うつ、精神分裂症の不快な症状を緩和してくれると感じるからです。
しかし、実はその反対で、メンタルに問題を抱えている人々は、禁煙後、より静かでポジティブで、より良い生活を送っているという報告が多数です。
禁煙の効果は、抗うつ療法の効果よりも大きく、禁煙に成功した人は、結果として幅広いメリットを享受していることを報告しています。
英国メンタルヘルス財団によると、禁煙に成功すれば、メンタルの改善に多大な効果があるものの、うつ病やメンタルに病がある人は、喫煙を断念すると、より強い離脱症状と渇望を経験し、禁煙が特に困難になるといいます。
まず、禁煙の際の体重増加を気にしないことです。食べることでストレスがごまかせるのであれば、禁煙による禁断症状を最小限に抑えることが最優先です。
また、ニコチンパッチやニコチン代替薬の処方に対話療法を組み合わせることが特に役立ちます。
「かっこつけるため」
「大人の仲間入りに思えるから」
「まあなんとなく」
タバコをやめるツラさ・キツさに比べ、タバコを吸いはじめるきっかけは、実に軽く、単純な理由がほとんどです。
禁煙をはじめるのに遅すぎるなどということはありません。はじめようと思った日が、いちばん早いベストタイミングです。