白板症はがん化するって本当?どこで診てもらえばいいの?

2018/1/29 記事改定日: 2019/3/11
記事改定回数:1回

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

白板症は、口の中の粘膜が白っぽく変色してしまう症状です。一般的には自覚症状がない病気ですが、がん化するリスクがあるので放置するのは危険です。
この記事では、白板症のがん化のリスクについて説明していきます。

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がん化しやすい白板症の特徴とは?

口の中の粘膜は、全体的にピンク色をしています。しかし、口の粘膜の一部が板状や斑状に白く変化し、こすっても取れないもので、粘膜の表面が皮膚のように角化してしまったものを白板症と呼んでいます。
一般的には見た目だけが変わるもので、痛みなどの自覚症状がないことが大半です。そのため、虫歯や歯周病などの治療で歯科医院を受診した際に指摘されることも多い病気です。

白板症はがん化する可能性があることでも知られており、口の中の前がん病変では代表的なものです。とくに舌にできたものはがん化しやすいといわれています。

白板症は粘膜の角化だけではなく、細胞が異形成と呼ばれる変化をすることもあり、異形成が強いほどがん化しやすい考えられています。
ただ、異形成が全くなくてもがん化したケースもあり、均一に白いものではなく、中に赤い班点があるものや、びらんを含むものもがん化する可能性が高いといわれています。

白板症の原因って?

はっきりとした原因は現在のところ不明ですが、統計的な資料などから誘因として考えられているものがいくつかあります。

まず、代表的なものが喫煙や飲酒です。白板症は男性に多くみられる病気ですが、これは男性の方が喫煙率、飲酒率が高いためと考えられています。
栄養的な面では、ビタミンAおよびBの不足が原因になることもあるといわれています。

また、欠けたり削れたりして歯が鋭く尖っていたり、詰め物や入れ歯が合っていなかったりすることで慢性的に粘膜をこすってしまうことが原因になることもあります。
上下の歯に種類の違う金属の詰め物が入っている場合にはかみ合わせた際にガルバニー電流と呼ばれる非常に弱い電流が発生しますが、これも白板症の誘因になると考えられています。

白板症はどうやって治療するの?

治療では、病理診断でがん化の有無やがん化の可能性を確認し、小さいものの場合は病理検査も兼ねて病変部位をすべて切除します。大きなものについても、可能な限り切除が検討されます。これはたとえ異形成がない白板症であっても、がん化する可能性がゼロではないためです。

レーザーでの蒸散が行われることもありますが、蒸散してしまうと病理検査ができなくなってしまうため一般的ではありません。

がん化してしまった白板症の治療は?

病理検査で白板症がすでにがん化してしまっているとわかった場合には、CTやMRIなどでの転移の有無の検査を行い、追加切除や放射線治療、化学療法などが行われ、切除を行わない場合には、禁煙や飲酒、歯科治療、ビタミンAの投与などが行われます。

白板症かもと思ったとき、どこで検査を受ければいいの?

白板症の診断や検査・治療などは基本的には口腔外科で行われます。口の中の病変といえば、一般的な歯科医院で診てもらうことが多いですが、白板症は特殊な検査などが必要になるため、歯科医院では検査や治療が受けられないことがほとんどです。

白板症を疑う症状がある場合には、お近くの口腔外科がある病院を受診するようにしましょう。しかし、お近くに口腔外科がない場合、一般的な歯科医院でも白板症の可能性の有無を判断することは可能なため、まずは歯科医院を受診してもよいでしょう。
白板症は放置するとがんに進行することがあるため、思い当たる症状がある場合はまずは病院を受診するようにしましょう。

おわりに:原因がはっきりしない白板症、気づいたらすぐ検査してもらうのが大切

白板症の原因はまだはっきりわかっていませんが、飲酒や喫煙、慢性的な粘膜の刺激などが発症のきっかけになるのではないかと考えられています。自分では発症を気づきにくい病気なので、歯科検診などで指摘されたらすぐに口腔外科で診てもらいましょう。

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