記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
先端巨大症は、下垂体に腫瘍ができたことで成長ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。この病気を治療するためには手術が一般的ですが、そのほかにも薬や放射線を使った治療法があります。この記事で、先端治療法の治療法について解説します。
先端巨大症は、脳下垂体に良性の腫瘍ができたために、成長ホルモンが過剰に分泌される病気です。成人では骨端線が既に閉じているため、身長が伸びるのではなく、別の形で骨や軟部組織の肥大がみられるようになります。たとえば、身体の先端、手・足のサイズなどの変化(指輪が合わなくなる、靴のサイズが大きくなるなど)したり、眉の部分が突出したり、顎が大きくなったために受け口になって噛み合わせが悪くなったりする、といった変化がみられます。
先端巨大症の治療は、下垂体に発生した腫瘍を手術で摘出することが基本です。腫瘍を切除することで、成長ホルモンの過剰な分泌を改善するとともに、腫瘍の圧迫によって生じる頭痛や視野障害といった症状の改善も期待できます。
手術は通常経鼻的下垂体手術(鼻の穴に特殊な器具を挿入して、下垂体にできた腫瘍を摘出する手術法)で行われます。脳に直接触れることがないので、脳への影響が小さく、傷跡も外部からは分かりません。
腫瘍が大きすぎて取り残しがあったり、周辺組織にしみこむように成長している場合、手術だけでは成長ホルモンの数値を正常に戻すことができません。このような場合は、薬物療法が選択されます。
薬物療法には、内服薬と注射薬の2つの選択肢があります。内服薬としては、ブロモクリプチンなどが処方されます。これは脳下垂体のドーパミン受容体に作用し、成長ホルモンの過剰分泌を抑制する作用がある薬です。また、注射薬にはオクトレオチドなどが選択されます。この薬には腫瘍からの成長ホルモンを抑制するだけでなく、腫瘍を小さくする作用もあります。
手術や薬物療法によっても改善がみられない場合、放射線療法も行われます。従来は高エネルギーのX線を外部から照射する方法が主流でしたが、最近ではガンマナイフやサイバーナイフなどを用いる施設も増えています。これらの放射線療法は、腫瘍が存在する部位に集中して放射線を照射できるため、治療効果が高く、周囲の脳組織などへの影響を最小限にとどめることが出来ます。放射線療法には腫瘍を縮小させる効果を期待できますが、成長ホルモンの過剰な分泌を抑制する効果があらわれるまでには、通常2~3年ほどかかると言われています。
先端巨大症は指や足が大きくなるだけでなく、高血圧や脂質異常や糖尿病などの合併症のリスクを高めます。また、大腸がんなどの悪性腫瘍を合併することがあることも明らかになっています。さらに、先端巨大症を発症すると平均寿命も短くなる傾向があることが知られています。
先端巨大症を発症すると顔や手足が変化するため、周囲の人は異変に気づきやすい反面、時間をかけて変化するため、本人はその変化に気づけないことがあります。たとえば卒業アルバムの写真と見比べて、明らかに変化が見られるようであれば、先端巨大症の可能性を念頭におく必要があります。
先端巨大症の治療は、下垂体にできた腫瘍を切除する手術を行うのが一般的ですが、薬や放射線を使った治療が行われることもあります。